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平成合併企業社員、出身で出世も給料も変わる悲喜こもごも

 その前田氏は2011年にみずほFGの特別顧問を退任後、2020年1月からNHKの新会長に就任することになった。

 2011年からみずほFG社長に就任し、2013年からみずほ銀行頭取を兼任したのが、旧日本興業銀行出身の佐藤康博氏だった。

「ワントップ体制を築いた佐藤氏は『これからは旧行の背番号を外していく』と宣言した。ここにきてようやく前田氏の影響力が薄れてきているようです」(同前)

 日商岩井とニチメンが合併した「双日」では、人材流出が問題化したという。経済ジャーナリストの福田俊之氏が指摘する。

「合併後の人員削減の過程で、日商岩井の優秀な人材が他社に流出してしまった。例えば、日産自動車の新社長に就任した内田誠氏は日商岩井出身で、この合併によって2003年に日産に転じた人物です」

 合併によって人事と賃金面の混乱を招いたのが「日本航空」だ。ジャーナリストの溝上憲文氏が語る。

「JASを吸収合併した際、日航は『対等』を標榜して、持ち株会社の傘下にJAS主体の国内線会社と日航主体の国際線会社をぶら下げました。持ち株会社は、部長が日航出身なら次長はJAS出身、課長は日航出身と完全な“たすき掛け人事”でしたが、給与の仕組みや諸手当はまったく違っていた。

 給与はJASが日航より高かったにもかかわらず、両社の労組が強かったこともあり、旧体制の賃金制度がそのまま維持されました。そのうえ人事考課は直属の上司が行なうため、部長はよくわからないJASの考課表に基づいて次長を査定し、次長はなじみのない日航の考課表に基づいて課長を査定する“ねじれ”が生じていたという」

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