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年金制度は「瀕死の重傷」、制度維持のためには75歳まで働く必要も

 一方で政府は、年金受給を繰り上げた場合の減額幅を圧縮する方針を打ち出している。現行では、年金受給を1か月早めるごとに基準額から0.5%減らされ、60歳から繰り上げ受給すると年金額は30%減となる。それを1か月の減額幅を0.4%とし、60歳から繰り上げ受給をすると24%減にとどめる改正案が、早ければ2020年の通常国会で決定される運びだ。

 2019年の財政検証を見ても、今後年金支給額がズルズル減らされていくことは明らかだ。そうしたことを勘案すれば、私は年金の繰り上げ受給が有力な選択肢になると考える。もちろん、生活費を思いきり下げる家計の構造改革、リストラが必要になるが、減額された年金の範囲で楽しく暮らしていくことは十分に可能だ。大都市に住んでいたら難しいかもしれないが、たとえば家計で最も大きな支出となる住居費は、そこから離れて郊外に住めば劇的に安くすることができる。

 60歳からの繰り上げ受給を選択すれば年金額は少なくなるが、健康寿命の72歳まで12年間、体も動いて好きなことができる。一方、70歳までやりたくもない仕事を我慢して続けて年金をもらい始めれば、確かに年金額は42%増えるが、健康寿命からいえば悠々自適の期間はわずか2年だ。どちらを選ぶかは、個人の人生観の問題なので何ともいえないが、老後の幸せはこの選択にかかってくるのだ。

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