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大前研一「ビジネス新大陸」の歩き方

築地市場跡地の再開発計画 「MICE誘致」の大きな問題点

小池百合子都知事の築地市場跡地の再開発計画のどこが問題なのか(イラスト/井川泰年)

小池百合子都知事の築地市場跡地の再開発計画のどこが問題なのか(イラスト/井川泰年)

 東京・築地市場跡地の再開発計画が進行している。だが、小池百合子都知事肝いりのこのプランに苦言を呈するのは、経営コンサルタントの大前研一氏だ。築地再開発計画のどこに問題があるのか、大前氏が解説する。

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 以前、日本の政治家や自治体が誘致に躍起となっているカジノを含む統合型リゾート(IR)が今や世界では斜陽産業になっていることを指摘した。それに負けず劣らず世界の実態を知らないのが、築地市場跡地でMICE(マイス)を中核施設とする再開発計画を決定した東京都の小池百合子知事である。

 MICEとは、企業などの会議(Meeting)、企業などが行なう報酬・研修旅行(Incentive Travel)、国際機関・団体・学会などが行なう国際会議(Convention)、展示会・見本市・イベント(Exhibition・Event)の頭文字を使った造語で、それらの総称だ。

 東京都の「築地まちづくり方針」(2019年3月)によれば「国際会議等の機能を中核としながら、文化・芸術、テクノロジー、デザイン、スポーツ・ウェルネス(健康増進)などの機能が融合して相乗効果を発揮し、東京の成長に大きく寄与する交流拠点として発展していく」という将来像を提案。その実現に向け、約23万平方メートルの市場跡地にMICEのほか大規模集客・交流施設、研究開発施設、ホテル、サービスアパートメント、広場・緑地、レストランなどを整備する一方、分譲住宅の導入は抑制する。

 小池知事が2017年に表明した「食のテーマパーク機能を有する新たな市場」にあたる内容は盛り込まれていない。東京五輪・パラリンピックで選手らの輸送拠点として使用した後、民間事業者の提案を受けながら段階的に再開発するが、小池知事はここにIRを誘致する腹づもりではないか、との憶測も流れている。

 しかし、この計画はバカげている。なぜなら、MICEはIR以上に斜陽産業だからである。

 今や人々はネットで何でも調べて詳しく知ることができるようになり、現地に足を運ぶ必要性が低下している。その象徴が、入場者確保に四苦八苦している「東京モーターショー」だ。1991年の約202万人をピークにほぼ年々減少し、2007年以降は2年に1回の開催になってしまった。

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