田代尚機のチャイナ・リサーチ

米中企業がリードするワクチン開発 今秋にも投与開始の可能性

 2013年以降、カナダ国家研究委員会(NRC)と業務提携しており、かつてエボラウイルスワクチンの開発を成功させた実績があるが、NRCは5月12日、新型コロナウイルスワクチンの開発、生産でも協力する方針を示している。「康希諾生物は間もなく、フェイズII臨床試験を中国で開始する予定だ。カナダでも臨終試験を始める。緊急使用許可といった形ではあるが、早ければ今年の秋にでも、ワクチン投与が始まる可能性がある」と説明している。

 一方、モデルナは5月18日、有力なワクチン候補(mRNA-1273)のフェイズI臨終試験について、安全性、有効性が確認できたとして、すぐにフェイズIIに移行し、7月にはフェイズIII臨床試験を開始すると発表している。

 いずれのケースも、これまでの常識では考えられないスピードで開発が進められている。鐘氏は上述のように、ワクチン開発の時期に関して慎重な見方をしているが、それは彼のこれまでの経験にもとづく保守的な予想とも言える。中国、カナダ、アメリカ政府は、非常事態であるといった認識から開発のスピードを重視しており、1年足らずでワクチンを開発させてしまう可能性もあるだろう。

 世界中で感染拡大第2波の到来に脅える中で、ワクチン開発競争は過去に例を見ないスピードで進んでいる。

文■田代尚機(たしろ・なおき):1958年生まれ。大和総研で北京駐在アナリストとして活躍後、内藤証券中国部長に。現在は中国株ビジネスのコンサルティングなどを行うTS・チャイナ・リサーチ代表。メルマガ「田代尚機のマスコミが伝えない中国経済、中国株」(https://foomii.com/00126/)、ブログ「中国株なら俺に聞け!!」(http://www.trade-trade.jp/blog/tashiro/)も展開中。

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