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首都地震危険マップ【新宿区・港区】低地のタワマンに液状化リスクも

超軟弱な「腐植土」でできた「赤坂溜池」周辺

 1928年に埋め立てられた下水「旧・赤坂川」は、さらに昔に存在した「赤坂溜池」の名残(地図内「A」参照)。「溜池山王」という駅名はそれが由来とされる。かつて池や沼のあった場所には土の中でも最も質が悪く、軟弱と評価される「腐植土」が堆積しており、ピンポイントで大きな揺れを起こす危険がある。腐植土とはその名の通り腐った湿地の植物が混ざった土で、水を含んだスポンジのような状態のため、沈下しやすい特徴がある。

 古川がほぼ直角に蛇行する麻布十番駅南方(地図内「C」参照)は、水はけの悪さから腐植土が堆積しており軟弱。特に、麻布十番から東麻布にかけての地域は、関東大震災(1923年)でも震度7だったと推測される危険地帯である。

川の通っていた「谷底低地」は軟弱で揺れやすい

 一方、新宿区には「谷底低地」と「旧河川」が目立つ。旧河川とは、地下水路に転用して暗渠にした川や、埋め立てなどによって姿を消した川を指す。武蔵野学院大学特任教授の島村英紀さんが話す。

「川がなくなっても地盤は変わりません。もともと川が流れていた谷底地形の低地には、川で運ばれた軟弱な堆積物がたまっています」

 沖積低地同様、谷底低地も揺れやすく危険だと覚えておこう。

 新宿区の北に位置する「下落合駅」周辺地域(地図内「B」参照)は、昭和に入るまで神田川と妙正寺川の合流地点だった。つまり「川が『落ち合う』地点」だ。谷地形で揺れやすいだけでなく、1999年には自宅の地下室が豪雨で浸水し、住人が亡くなる事故も発生している。

※参考/東京都建設局「東京の液状化予測図 平成24年度改訂版」、東京都都市整備局「地震に関する地域危険度測定調査」、国土交通省国土地理院デジタル標高地形図、『首都大地震 揺れやすさマップ』(目黒公郎監修/旬報社)、『川の地図辞典 江戸・東京/23区編』(菅原健二著/之潮)

※女性セブン2020年8月20・27日号

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