コロナでリモートワークが脚光を浴びる中で、問題点として浮上したのが「ハンコ」。これを押すためだけに出社するようなケースを避けるための方法の1つが「クラウドサイン」だが、移行する時に注意すべきデメリットは何か? 弁護士の竹下正己氏が回答した。
【相談】
コロナ自粛により、働き方にも変化が起きています。我が社でも、いわゆるクラウドサイン、他社ともネットでのサイン契約を始めようと模索中です。しかし、これまでハンコでの契約などに慣れている我々にとっては信用がおけません。そこでクラウドサイン実施における問題点やメリットを教えてください。
【回答】
法令上必要な場合以外で、ハンコに法的な意味があるのは、裁判で文書が本人の書いたものか争われた場合です。印影が本人のハンコにより、顕出されたことが証明できれば、本人が押したと事実上推定され、その文書は本人の意思で作成されたものと推定されます。
ネット上でサインするというのは、ワードなどの電子文書のソフトを利用して暗号化することです。電子署名ソフトでは、暗号化と解読が対になったキーが作られ、相手に暗号化した電子文書とキーの一方を渡し、解読できれば対になったキーで暗号化された電子文書と考えられ、ハンコ代わりになります。
しかし、それだけではキーの保有者が本人か不明です。電子署名法では、本人の電子署名であることの証明を「特定認証業務」として民間業者に開放しています。