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ハンコからクラウドサインへの移行 そのメリットとデメリット

 認証業者に、キーを作ってもらい、電子証明書の交付を受け、暗号化した電子文書も一緒に送ります。この証明書は、いわば印鑑証明書で、ここまでしていれば本人の文書であることが推定されます。さらに本人の成りすましを防ぐため、法は厳格な本人確認体制を整備した業者を「認定認証事業者」として認証、「電子署名法特定認証業務」の表示を認めています。

 電子契約では、契約当事者が互いに電子署名して成立するので、電子署名を証明できる業者に電子契約を預け、保管させる必要があります。これら民間業者の利用は有料です。安全な電子署名ほど料金が高く、その証明の有効期間を延ばす必要があれば費用もかかります。こうしたコストの負担やサイバー攻撃への不安がデメリットといえます。

 ただ、電子文書は紙でないので、文書の保管や整理が合理的にできるという点、他に契約書も紙ではないため、印紙税がかからないメリットも否定できません。

【弁護士プロフィール】竹下正己(たけした・まさみ):1946年、大阪生まれ。東京大学法学部卒業。1971年、弁護士登録。

※週刊ポスト2020年9月4日号

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