田代尚機のチャイナ・リサーチ

中国ハイテク産業成長の切り札となる「第3世代半導体」とは

 電子やホールが価電子帯から伝導帯に遷移するために必要なエネルギーをバンドギャップというが、第3世代半導体はそのバンドギャップが大きいことが特徴である。そうした特徴から、前の世代の半導体と比べ、高い電圧、周波数、温度で作動させることできる。

 5G(第5世代移動通信システム)で使われるRF(無線周波)部品や、高効率の二極管、LED(発光ダイオード)などに使われる半導体として用途開発が進んでいる。将来的には、新エネルギー自動車、白物家電、鉄道交通、医療設備などで広く活用されると目されている。

 中国の経済政策では、長期の成長戦略が重視される。そうした特徴は、厳しい新型コロナ対策が行われていた時も変わらない。経済の弱い部分を選択的に、徹底的に支えたり、新産業に的を絞ってインフラ投資を拡大させたりしたが、マクロ的な需要拡大策、金融緩和策は基本的には行なわれていない。

 長期の成長戦略は五か年計画や更に長期の計画において、重要な部分を占める。

 国家が大学の基礎研究から、企業の応用研究まで資金を拠出し、銀行融資を受けやすくし、世界中から優秀な人材を集めやすくする。中国は世界最大の規模と広がりを持つモノづくりの拠点である。研究成果が製品開発に直結し易いといった利点もある。

 トランプ政権が中国のハイテク企業の発展を阻害するような強硬策を取っているが、それは皮肉にも、中国の成長戦略を加速させている面もありそうだ。

文■田代尚機(たしろ・なおき):1958年生まれ。大和総研で北京駐在アナリストとして活躍後、内藤証券中国部長に。現在は中国株ビジネスのコンサルティングなどを行うTS・チャイナ・リサーチ代表。メルマガ「田代尚機のマスコミが伝えない中国経済、中国株」(https://foomii.com/00126/)、ブログ「中国株なら俺に聞け!!」(http://www.trade-trade.jp/blog/tashiro/)も展開中。

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