真壁昭夫 行動経済学で読み解く金融市場の今

バイデン氏勝利で株高のなぜ 市場参加者の“思い込み”の正体

 そうした上院と下院の「ねじれ」によって、バイデン氏が掲げる大企業や富裕層への課税強化などの政策に上院が歯止めをかけることで、少なくとも民主党主導での政策運営は見込みづらく、むしろ民主党と共和党の“いいとこ取り”の政権となるのではないかという期待が高まり、株価が上昇したと考えられる。

29年ぶり高値更新の日本株は「割高」か

 これに加え、世界中の中央銀行がコロナ対策のため、市場に供給する資金量を増やすなど金融緩和を実施したことで、「少なくとも米国経済はこれまでとあまり変わらない成長が望めるだろう」、「今後も株が上がるに違いない」という思惑も重なって、マーケットには「コントロール・イリュージョン」が広がった。

「コントロール・イリュージョン」とは、市場の阻害要因をコントロール出来るという状況、つまり環境を自分の意志でコントロール出来るようになったという“思い込み”である(結果的に思い込みが間違っていたとしても、多くの市場参加者が思い込むことで株価は上がる)。これによって市場には安心感が広がり、マーケットを取り巻く状況は「不安」から「安心」へと180度変わったのである。

 ここまで安心感が広がると、この先トランプ氏がいくら悪あがきを続けようとも、当面は株価上昇が続く可能性が高い。特に、コロナ禍でも「GAFAM」(グーグル、アップル、フェイスブック、アマゾン、マイクロソフト)などの巨大IT企業は業績を伸ばし、これらをはじめとした「NASDAQ100」(米ナスダック上場の100銘柄)は、更なる高値更新も十分考えられる。

 そこで気になるのは、日本株の行方だろう。日経平均株価は29年ぶりの高値更新に沸き、年内に2万7000円台を期待する声もある。だが、日経平均株価のPER(株価収益率=株価が割高か割安かを見る指標)は現在20倍を超えている。PERは15~20倍が適正な水準とされ、現状では割高な水準と言える。ここから先は、企業業績が良くならないと、更なる株価上昇は望みにくい。トヨタ自動車が業績予想を上方修正するなど、一部で持ち直す動きは見られるものの、まだまだコロナの影響が払拭されたとは言い難い。まして国内にはコロナ禍でも業績を拡大してきた「GAFAM」に追随できるIT企業も見当たらず、当面は日本株の大きな上昇は見込めないのではないか。

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