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東北新幹線の上野駅、東海道新幹線の品川駅 それぞれが担う役割

品川始発の列車は1本だけだが…

 上野駅に東北新幹線が乗り入れたのは1985年。この時はまだ東京~上野間は未開通だったため、上野駅が東京都心部のターミナル駅だった。6年後の1991年になってようやく東京駅まで延びたが、当時の東北新幹線の東京駅のホームは1面しかなく、上越・山形の各新幹線を含む多数の列車の発着を扱いきれないため、引き続き上野駅を始発・終着とする列車は多かった。

1985年の東北・上越新幹線上野駅開業式の様子(時事通信フォト)

 1997年に東北新幹線の東京駅のホームがもう1面増設されると、上野駅を始発・終着とする列車は大幅に減り、それに伴い利用者も東京駅に移ってしまったが、約12年の間、上野駅は東北新幹線における“東京の北の玄関口”だった。今でも、盆暮れやゴールデンウィークなどのピーク時には、東京駅に入線できない臨時列車のターミナルとしてかつての輝きを取り戻すこともある。

 品川駅はどうか。東京と新大阪を結ぶ東海道新幹線が開業したのは1964年。それから39年後の2003年に、東海道新幹線の品川駅は開設された。理由は、列車を増発するためだ。東京~品川間には、新大阪方面への線路から車両基地方面への路線が分岐する場所がある。この区間では、新大阪への営業列車に混ざって車両基地と東京駅間の回送列車が走っており、営業列車の増発が難しかった。そこで、分岐点から新大阪方面の線路上に、東京駅のサブターミナルとなる品川駅を新設して、品川駅を始発・終着とする列車を運行すれば営業列車を増やせると考えられたのだ。

 ただ、東海道新幹線の品川駅が開業してから17年が経った今、品川駅を始発とする列車は朝6時00分発の1本だけで、終着の列車は運転されていない。それでも、結果的に列車の増発には貢献している。東京駅の利用者数は、1980年代後半の1日約16万人から4万人も増加しており、仮に品川駅を開設していなければさらに多くの利用者があふれて乗り降りや清掃に時間がかかり、効率良く列車を折り返せず運行本数はもっと少なかったに違いない。ターミナル駅の役割の一部を品川駅に負担させたことで、東京駅で素早く折り返せるようになり、結果的に営業列車の増発が可能になったのだ。

【プロフィール】
梅原淳(うめはら・じゅん)/鉄道ジャーナリスト。大学卒業後、三井銀行(現在の三井住友銀行)入行。雑誌編集の道に転じ、月刊「鉄道ファン」編集部などを経て2000年に独立。現在は書籍の執筆や雑誌・Webメディアへの寄稿、講演などを中心に活動し、行政・自治体が実施する調査協力なども精力的に行う。近著に『新幹線を運行する技術 超過密ダイヤを安全に遂行する運用システムの秘密』がある。

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