キャリア

「103万円の壁が…」コロナ禍で長時間労働を強いられる学生の悲痛

シフトを減らしてほしいと頼んだところ…

 失職する非正規雇用者に注目が集まる一方で、こうした長時間労働の実態は、なかなか注目されにくい。Aさんはチェーンの飲食店だったが、別の女子大生・Bさんは「地元密着型の店舗でも『働きすぎ』が生じている」と語る。

「私は大阪市外の小さな居酒屋で働いています。夫婦が切り盛りする店で、地元では人気のお店です。アルバイトはすべて大学生。私を入れて5人いましたが、4年生がやめたので3人になってしまった。店長夫婦はアルバイトの学生に『パパ、ママと呼んで。親代わりなんだから』と言い、過剰なまでにアットホーム感を演出している。

 コロナでオンライン授業が忙しくなり、シフトを減らしてほしいと頼むと、『パパとママがのたれ死んでもいいのか? パパ、ママにとってBちゃんは娘やろ?』と頼まれ、断れませんでした。変な情が湧いてしまうというか、おそらくご夫婦の思うツボなんだと思います。こうした擬似的な親子関係の縛りがあるので、結果的に人手不足から長い時間働かされている。常連客の雑談に付き合ったり、洗い物をしたりと、勤務時間が30分過ぎても残業代は払われません。勉学との両立も厳しい状況で、とてもつらいです」(Bさん)

 前出のAさんは「仕事を失う人も多いなか、顰蹙を買いそうで友人にも相談しづらい。でも、店側の頼みどおりに働けば、身体もきついし年収が103万円を超えて家計が苦しくなる」と語った。失業や収入減によって苦境に立たされる非正規雇用者が目立つ一方で、人手不足も深刻化している。そのしわ寄せが一部のアルバイト人材の「働き過ぎ」という形で顕在化しているようだ。

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