真壁昭夫 行動経済学で読み解く金融市場の今

年明けの「急激な円高」に要警戒 2021年の為替相場をどう読むか

2021年の為替相場はどうなる?(2020年3月上旬、1ドル=102円台に急騰した円相場。写真/時事通信フォト)

 人は常に合理的な行動をとるとは限らず、時に説明のつかない行動に出るもの。そんな“ありのままの人間”が動かす経済や金融の実態を読み解くのが「行動経済学」だ。今起きている旬なニュースを切り取り、その背景や人々の心理を、行動経済学の第一人者である法政大学大学院教授・真壁昭夫氏が解説するシリーズ「行動経済学で読み解く金融市場の今」。第8回は、2021年の為替相場の見通しについて解説する。

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 新型コロナウイルスの感染拡大が深刻化し始めた今年の3月上旬、円ドルの為替相場はそれまでの1ドル=110円前後から、一時1ドル=101円台まで円高が進んだ。その後また円安へと戻りはしたものの、日米の大規模な金融緩和などを背景にドル安が続き、ここ数か月は1ドル=103~104円前後で推移している。チャートを見ても、やや円高気味に振れながらも、比較的安定した値動きのように映る。

 だが、世界中の通貨と見比べてみると、実は円とドルはその他の国の通貨と比べて安くなっている。天秤で例えると、円とドルは同じ右側の皿に乗っているのに対し、対米ドルで高くなっているユーロやポンド、豪ドル、ニュージーランドドルなど他の国の通貨は左側の皿に乗っており、明らかに天秤の左側が重くなっている格好だ。今のところ、世界的にはドル安だけど円安でもある「ドル安・円安」という構図にある。

 それゆえ、円ドル相場は1ドル=103~104円前後で推移し目立った動きを見せていないが、半年~1年ほどの中長期で見ると、また違った状況になりそうだ。今後数か月かけてコロナのワクチンが徐々に普及していくことで経済の正常化が進み、“世界の景気敏感株”と言われる日本株が真っ先に買われるようになると、対ドルだけでなく世界的にも「ドル安・円高」に向かう可能性が高まる。先ほどの天秤で言えば、ドルと同じ右側の皿から、円が左側の皿に移るような格好だ。

 そうなると、場合によっては、1ドル=100円割れの円高になってもおかしくないと見ている。もちろん、円高は輸出企業が多い日本企業にとってマイナスだが、緩やかな円高であれば、それを吸収できる対応力が日本企業にあるため、「円高・株高」という可能性もあるだろう。

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