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【日本株週間見通し】決算シーズン佳境入り、日経平均29000円突破なるか

 1月第4週(1月25~29日)の投資主体別売買動向では、海外投資家は現物株を第3週の1500億円近い規模に続いて300億円ほどと小幅な売り越しを継続し、海外勢による現物株の買い越し基調には一服感がみられた。一方、個人投資家は現物株を4000億円近く買い越してきており、第3週の2000億円近い水準から倍増している。上昇相場前半は海外投資家が主体だったが、海外勢の動きが一服したところでこれまで売り方に留まっていた個人投資家が買いの主体に回ってきており、需給環境は悪くないようだ。

 こうした中、主力企業の10-12月期決算がいよいよ佳境に入ってくる。これまでのところ、市場予想や事前の会社計画を大きく上回ってくる好決算が多く、株価もポジティブに反応する銘柄が多い。アナリスト予想の上方修正数から下方修正数を差し引いたリビジョンインデックスもプラス幅を拡大してきており、業績改善傾向を背景とした日本株の見直し買いの継続を期待したい。

 1月には、国際通貨基金(IMF)が世界経済見通しを改定し日本の2021年の成長率見通しを3.1%(+0.8pt)と上方修正した。経済指標などを基に投資戦略を決めるグローバルマクロと呼ばれるヘッジファンドが存在することが背景ともされているが、IMFが日本の経済成長率見通しを引き上げた翌月には海外勢が日本株を買い越してくる動きが経験則としてみられるという指摘もある。

 2月に入ったということで、アノマリー的には「節分天井・彼岸底」というキーワードも意識されるが、今月は上述の背景から底堅い展開を期待したい。また、先週は、「グロース株・ハイテク株売り、景気敏感株・出遅れ株買い」の動きが顕著だったが、こうした循環物色はこれまでにも何度も見られており、今回も売り一巡後には再びグロース株・ハイテク株への押し目買いが期待される。

 2月4日には米10年物国債の長期金利が1.146%と1月11日に付けた1.143%を上回る水準にまで上昇してきており、こうした金利高がバリュエーション面での割高感が意識されるグロース株の重しとなっているとも考えられるが、米連邦準備制度理事会(FRB)が量的緩和政策を継続している限りは長期金利の継続的な上昇は考えにくい。

 グロース株の本格的な調整目処とされる金利水準は1.5%という声が多いことからも、まだ金利高を警戒し過ぎる必要はないと考えられる。業績改善期待と量的緩和に支えられた低金利という環境を背景に、景気敏感株・バリュー(割安)株とグロース株・ハイテク株の間での循環物色が一層進展していけば、日経平均の29000円超え、そして大台の3万円超えも見えてこよう。

 足元では、ワクチン普及加速への期待とともに、米国民主党政権が財政調整法を活用して単独で経済政策を成立させるとの期待感も高まっており、業績改善を裏付ける好決算や米長期金利の上昇などとも併せて考慮すれば、地合いとしては相対的な割安感が意識される景気敏感株優位の展開の継続が想定される。

 しかし、5Gや電気自動車(EV)など裾野が広く成長ストーリーが明確な半導体などハイテク株やグロース株への期待感も根強いとみられ、調整一巡感がみられるところではこれら銘柄への押し目買いを一考するのも長期的には奏功すると思われる。

 そのほか、日米金利差の拡大や投機筋のドル売りポジションの解消を受けて、円安・ドル高傾向が顕著になってきている。こうした為替動向も追い風に自動車など輸送用機器セクターへの買いも継続しそうだ。

 今週の主な国内スケジュールは、8日に1月景気ウォッチャー調査、9日に12月毎月勤労統計、1月マネーストック、1月工作機械受注、10日に1月都心オフィス空室率、11日は建国記念日で休場、12日はオプションSQ(特別清算指数算出日)などが予定されている。一方、主に米国など海外では、10日に中国1月生産者物価指数、中国1月消費者物価指数、米1月消費者物価指数、米1月財政収支などが予定されている

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