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夫が「全財産を妻に」と遺言 それでも義母と義姉に相続させる必要はあるか

 遺留分の具体的な金額は、まず実際の遺産の額に、死亡の10年前以後に相続人が生計の資本として贈与された財産(特別受益)の金額を加算します。ご主人が、お義母さんのために住まいを買ってあげたり、大規模の修繕費用を負担するなどしていれば特別受益ですから加算されます。

 また、あなたがご主人から賃貸不動産などを購入してもらっていれば同様です。

 お義母さんの遺留分の額は、遺産に特別受益を加算した額から相続債務の額を控除した残額に、遺留分の割合6分の1をかけた金額です。この額からお義母さんの特別受益の額を差し引いた残額がプラスであれば、それが遺留分侵害額です。

 お義母さんはご主人の遺言を知ったときから1年以内であれば、あなたに侵害額の支払請求ができます。

 相続人ではないお義姉さんと話し合う必要はありませんが、お義母さんから遺留分の申し出があれば協議する必要があります。特別受益の有無を含めて相続財産の範囲を確認しあうことからスタートして、遺留分の額を確定し、支払い方法を相談することになります。

 遺留分の計算は素人には簡単ではありません。遺留分の請求があれば弁護士に相談してください。

【プロフィール】
竹下正己(たけした・まさみ)/1946年大阪生まれ。東京大学法学部卒業。1971年弁護士登録。射手座・B型。

※女性セブン2021年3月18日号

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