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日本に輸入されている外国産家畜に投与される成長促進剤や抗生物質の危険性

すし詰め状態で飼育するブラジルの養鶏場(Getty Images)

すし詰め状態で飼育するブラジルの養鶏場(Getty Images)

 長引く自粛生活。以前のように気軽に外食ともいかず、自炊の頻度が高くなったという声も多く聞こえる。実際、総務省統計局のまとめによると、2020年上半期の肉類支出は牛肉、豚肉、鶏肉のほか、ハム・ソーセージなども含むすべてで増加。金額ベースで牛肉は11.8%、豚肉は10.9%の増加となったほか、鶏肉も売り上げを伸ばしている。

 コロナ禍による不況の中、できるだけ食費も押さえたいところだが、安価で家計の味方だった輸入肉に、とんだ疑惑が持ち上がっている。人体への悪影響が懸念される「肥育ホルモン」を使用した牛肉が、アメリカ、カナダ、オーストラリアなどから、日本に輸入されているのだ。

 1988年にEUではすべての肥育ホルモンが全面使用禁止になり、翌年には合成女性ホルモン剤を使用した肉は輸入禁止になっている。ホルモンは食物にも人間の体にも自然に存在しているため調査が難しく、いずれも科学的証拠までは確立していないが、EUがアメリカ産牛肉の輸入を禁止してからわずか7年で、EU諸国の多くで乳がんの死亡率が20~45%も減少している。

 それでは、豚肉や鶏肉はどうか。米ハーバード大学研究員を経てボストン在住の内科医・大西睦子さんが解説する。

「米国農務省が1950年代から家禽(ニワトリやアヒルなど鳥類)への肥育ホルモンの使用を禁止したほか、豚への使用も禁止されています。つまり、アメリカ産でも、豚肉と鶏肉には肥育ホルモンは使われていません。これは、豚や鶏の肥育ホルモンの開発や維持には莫大な費用がかかり、経済的に見合わないためです。1頭ずつ投与する手間もかかり、高コストになる」

 しかし、安心はできない。アメリカをはじめとする国々では、牛、豚、鶏に「ラクトパミン」という成長促進剤が使われているからだ。

 食の安全に詳しいジャーナリストの小倉正行さんが言う。

「エサに混ぜて与えられるラクトパミンには、興奮剤や成長促進剤としての働きがあり、食肉の赤身を増やすとされます。しかし、ラクトパミンを人間が摂取すると心臓の神経伝達物質に影響を及ぼす。心臓系疾患を持っている人は心停止の可能性もある物質です。この危険性から、ラクトパミンは、EUだけでなく、中国やロシアまで使用と輸入を禁じています」

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