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【日本株週間見通し】日経平均は米インフレ懸念で小休止、今週の注目は?

 一方、もう少し長い目では、今回の一件により、今後の物価関連の指標への注目度はより一層高まった。5月の米CPIが再び予想を大きく上回るような結果だと、改めて株式市場ではリスク回避の動きが強まる恐れがある。今後の経済指標への警戒感が強まるまでの短い時間内での戻りとなろう。

 また、決算が一巡し、改めて業績を見直すべきタイミングといえる。先週末には一日で1000社前後の決算があったわけだが、多くが大引け後の発表ということで、それらの内容は今週から織り込まれることとなる。また、それまでに既に発表済みの銘柄でも、先週は週半ばに日経平均が3日間で2000円超下落するという大波乱だったなか、連れ安して決算内容がしっかりと織り込まれていない銘柄も多いと思われる。中長期投資の観点からは良い仕込み時といえそうだ。

 そのほか、今週は、日本国内で4月工作機械受注、1-3月期GDP(国内総生産)速報値など経済指標の発表もある。工作機械受注は前月まで強い回復基調をみせており、長い目では海外勢による日本株買い越し傾向との連動性も高いため注目したい。前年比だけでなく前月比で強い数値が確認されれば、直近の本決算で良好な今期見通しを提示した関連株には業績見直し機運の高まりと相まって刺激材料になりそうだ。

 一方、GDP速報値には注意が必要か。緊急事態宣言などによる影響で1-3月期の経済状態はかなり落ち込んだ。市場予想では前期比-1.1%とマイナスが予想されており、相場が軟調な地合いに転じてきているなか、ネガティブに捉える可能性もありそう
だ。

 また、4月開催分の米連邦公開市場委員会(FOMC)議事録も発表される。足元では、「物価上昇は一時的」とするFRBと、それに対して懐疑的な市場との間でミスコミュニケーションが生じている。議事録内容の公表を受けて、市場がどう捉えるのかに注目だ。

 物色動向としては、前週指摘した「インフレ・金利上昇」が早くも改めて相場のテーマとして浮上してきたことから、改めてインフレ耐性のあるセクターの選好を強調したい。鉄鋼、化学など供給網での川上産業は、価格転嫁能力が高いため物価上昇には相対的に強い。

 とりわけ、鉄鋼セクターは、これまで供給過剰という構造問題を生み出していた中国において、習政権がCO2排出抑制を意識した環境規制政策を取り続けていることもあり、供給が絞られた状態が続いている。加えて、景気回復による需要増があり市況の逼迫感は強い。鉄鋼関連の銘柄では市場予想を大きく上回る良好な見通しを発表した銘柄も多く、利益確定売りをこなしつつ上値を試す展開も想定されよう。

 今週は17日(月)に4月工作機械受注、中国4月鉱工業生産、中国4月小売売上高、中国4月固定資産投資、米5月ニューヨーク連銀景気指数、18日(火)に1-3月期GDP速報値、米4月住宅着工件数、19日(水)に米FOMC議事録(4月開催分)、20日(木)に4月貿易収支、3月機械受注、4月首都圏マンション販売、米5月フィラデルフィア連銀景気指数、21日(金)に4月全国消費者物価指数、米4月中古住宅販売などが予定されている。

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