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「親父の老後対策のせいで散々な目に…」二世帯同居40代男性の恨み節

子供の扶養に入って同居したことで思わぬ展開が待っていた(イメージ)

子供の扶養に入って同居したことで思わぬ展開が待っていた(イメージ)

 自分がこの世を去った後、我が子にかかる負担はできるだけ少なくなしたい――多くの親がそう思うからこそ、終活や相続対策などについて、様々な情報・サービスが紹介される。自宅の売却や現預金の不動産化、生前贈与など、対策には「お金」と「労力」がかかる。

 将来的なメリットがあると信じているから、「子供のために」「子供に迷惑をかけないように」と物事を進めてしまうが、本当にそうだろうか。息子や娘のためを思って講じた策で、かえって大損したり、家庭不和を招くケースは数多い。

「税金が得」に潜む罠

 都内在住の40代男性は、「親父が余計な知恵を巡らせなければよかったんだ」と恨み言をつぶやく。5年前に母親が亡くなり、長野の実家でひとり暮らしになった70代の父親は「離れて暮らしていると病気や要介護になった時に面倒をかけるから」と、同居を提案した。

「自営業をやっていた父は年金も少なく、“子の扶養に入ったほうが税金や保険料も得になるらしいから”と言われて、たしかにその時は私も賛成しました。でも、いざ二世帯住宅に移り住んで一緒に暮らし始めると、田舎の広い家から引っ越すのにモノが捨てられなかった父のせいで収納スペースが足りなかったり、共有の風呂場を使う時間帯が合わなかったり、生活上のストレスが溜まって仕方がない。

 しかも、要介護になっても家族と同居していると、介護保険サービスの生活援助も使えないことがあるそうです。いいことなんてほとんどない。父が亡くなった後は二世帯住宅に住む意味はなくなりますが、特殊な間取りなので売ったり貸したりできるのかも心配です。父の考えた“老後対策”で散々な目に遭っています」

 老後対策や相続対策では、“こうすれば家族で得になる”“こうなれば子供も助かる”というプラスの情報のほうが強調されがちだ。実行に移してから、そのマイナス面に気づくのでは遅い。「子供のために」という気配りで家族が不幸にならないためには、各種対策の“負の側面”に目を向けなくてはならない。

※週刊ポスト2021年6月4日号

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