田代尚機のチャイナ・リサーチ

中国政府が「ビットコインを打ち砕く」宣言 仮想通貨に未来はあるか

「貨幣として市場に流通させ、使用するべきではない」

「仮想通貨取引の投機リスクを防ぐことに関する公告」については、中国インターネット金融協会、中国銀行業協会、中国支払決済協会の会員など業者に向けた行政指導、命令である。この内容や、意義については、中国中央テレビ局CCTV13が番組を通して以下のように説明している。

 最近、仮想通貨価格が急騰急落しており、仮想通貨に関する投機活動が再び活発になってきたが、これは人民群衆の財産の安全を著しく侵害し、経済金融の正常な秩序を撹乱する。中国インターネット金融協会の陸書春秘書長は、「仮想通貨は特定の仮想商品の一種であり、貨幣当局によって発行されたものではなく、強制通用力などの法定通貨としての属性を有していない。正式な通貨ではない以上、貨幣として市場において流通させ、使用するべきではなくかつ、してはならない」と発言している。

 今回の公告は金融機関、支払決済機関などが仮想通貨に関する一切の業務を行ってはならないということを明確にさせている。仮想通貨が持つ、国家に対するネガティブな力を中国としては見逃すことができない。

 欧米、日本政府においても、中央銀行が管理できない金融取引が大きくなることや、国境を超えた資金移動が容易になり、脱税、マネーロンダリングが野放しとなるような事態は避けたいはずだ。

 仮想通貨はいずれ、国際的に強い制限が加えられるようになる可能性もあるということだ。投資をするのであれば、そうした点を意識した上で、投機と割り切って短期売買に徹した方が安心かもしれない。

文■田代尚機(たしろ・なおき):1958年生まれ。大和総研で北京駐在アナリストとして活躍後、内藤証券中国部長に。現在は中国株ビジネスのコンサルティングなどを行うフリーランスとして活動中。メルマガ「田代尚機のマスコミが伝えない中国経済、中国株」(https://foomii.com/00126/)、ブログ「中国株なら俺に聞け!!」(https://www.trade-trade.jp/blog/tashiro/)も展開中。

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