住まい・不動産

コロナ禍で「終の住処」問題に変化 施設入居や地方移住の想定外トラブル

コロナが「終の住処」選びにどう影響?(イメージ)

コロナが「終の住処」選びにどう影響?(イメージ)

 近年、メディアなどで度々話題になる「終活」。豊かな老後を過ごすため、万全の備えで終活に臨む人も増えているが、一つの判断がかえって思いがけないトラブルを招くこともある。特に、高齢になるほど現実的になる「終の住処」問題には注意が必要。自宅を手放し、介護施設入居を考えているならなおさらだ。介護評論家の高室成幸さんは「どの施設を選ぶかで老後の明暗が分かれる」と語る。

「入居金が安くて人気なのが、外部の介護や医療を利用する『サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)』や一部の住居型有料老人ホームです。これらは届け出だけで済むので、異業種からの参入例が多くみられます。

 そのため施設管理が緩くなりがちで、せっかく入居したのに『スタッフのサービスが雑』『隣の住人がうるさい』『部屋が狭くて窮屈』などの理由で住み替えを希望するケースが案外あります。しかし、資金的に余裕がなかったり、実家を手放していて帰る場所がないために、ストレスがたまるのをがまんし続けるという悩みは珍しくありません」

 終の住処にしようと入居したのに「経営上の理由」からトラブルに巻きこまれることもある。

「サ高住や有料老人ホームは運営の自由度が高い代わりに倒産のリスクがあります。2019年度のサ高住の倒産や廃業は53施設あり、過去最高でした。施設が倒産すると入居者に住み替えの必要が生じて、古い物件に移ったり、子供の家から遠くなったりするケースが実際に起きています。老人用の施設全体で見ても、経営者や経営母体、理事長などが交代すると、掃除や洗濯などの生活支援サービスの内容や単価も変わり、食事や介護の質が低下することも起こっています」(高室さん・以下同)

 さらに、コロナ禍によって介護施設での生活は不自由を強いられることとなった。

「新型コロナで“多くの人が集まる箱物は危ない”という意識が浸透しました。実際にフリースペースが閉鎖されて自分の部屋から一歩も出られない施設も出ています。この先、『年老いたら自宅を処分して、施設に入る』という老後のスタンダードは廃れていくかもしれません」

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