中川淳一郎のビールと仕事がある幸せ

「貧乏国家」に堕ちた日本 「物価が安くて清潔で快適」で満足してはいけない

 長年タイに通って分かったのが、キチンと物価が上昇していることです。かつて10バーツ(約35円)だった移動式の果物売りの商品は、30バーツ(約105円)になっていました。25バーツ(約75円)だったミカンジュースも50バーツ(約150円)に上がっています。

 それだけタイの人々が裕福になったということでしょう。先日、話題の本『安いニッポン「価格」が示す停滞』(中藤玲・日経プレミア)を読んだのですが、同書の中には、100円ショップ・ダイソー商品の世界の価格が紹介されています。日本は100円なのに対し、タイでは210円。それでも売れているということは、タイ人の方がもはや日本人よりも購買力があるということではないでしょうか。

タイからの観光客が「日本は安い!」と爆買い

 思えば、最近の日本人は「コスパ」ばかり重視しているように思います。だからなのか、携帯電話会社がキャンペーンで「牛丼1杯無料」「アイス1スクープ無料」などをすると大行列ができる。

 ほんの数百円が無料になるというだけで、貴重な時間を費やしてまで行列を作るのです。そうした時間を無駄だと思わず、目先の数百円に群がる様子を見るにつけ、日本が「貧乏国家」になったと実感してしまうのです。大富豪である前澤友作氏が「ツイッターをフォローした人の中から抽選で100人に100万円をあげる」と宣言すれば、同氏のフォロワーが約550万人増える。これが日本の現状です。

その一方で、コロナ禍前の2019年までタイからの観光客は増え続けていた。彼らは日本で「爆買い」をし、ダイソーで「安い!」と大喜び。かつて日本の若者がタイで「安い!」とやっていたのと同じことをタイの人たちが日本でやるようになったのです。

 2019年12月には「米国(サンフランシスコ)では年収1400万円は低所得」という内容の記事を日本経済新聞が報じ、ネットでも大きな話題となりました。その時は「3000円のランチを食うよりもワンコインで食べられる日本の方がいい」などといった反応もありました。

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