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セブン-イレブンが「コンビニの鬼門」揚げたてカレーパンに挑戦する理由

 そのセブンが2014年11月に先陣を切って投入した「ドーナツ」も記憶に新しい。コンビニ大手3社が参入し、大展開した「ドーナツ販売競争」は業界紙や一般紙でも取り上げられるほど過熱したが、今やどの店舗でも見かけなくなっている。

 実はこの時、ドーナツとともに登場し、消えたのがカレーパンだった。あるコンビニ大手社員が語る。

「ローソンが差別化を図って店内で揚げたドーナツだけでなくカレーパンも販売しましたが、支持を得られず撤退。カレーパンは“揚げたてでないと美味しくない”といった声もあり、専用の機器を導入しなければならない店舗から不満の声もあったことが敗因といわれています。

 そもそもカレーパンはカロリーが高いイメージがあり、他の揚げ物と違って酒と合わないといった消費者の声もあって、“レジ横”には鬼門とされています。

 今回、セブンが販売するカレーパンは店舗にある既存のフライヤーを利用し、焼き鳥用の保温ケースを使うようですが、タブー視されてきたカレーパンに本格参入したことは業界でも驚きをもって見られています」

コンビニ王「唯一の弱点」

 コンビニ業界に詳しいマーケティングアナリストの渡辺広明氏は、背景をこう分析する。

「コンビニにとって『揚げ物』は非常に重要な商品です。焼き鳥は店内で焼いているわけではなく温めるだけの商品で、おでんや肉まんといった『煮る』、『蒸す』商品は季節もので通年の売り上げは見込めない。揚げ物だけがコンビニの店内調理に向いており、季節にかかわらず売れ行きがよい商品です。

 しかし、セブン-イレブンは参入が遅く、『からあげクン』や『ファミチキ』のような看板商品がない。業界の王者でありながら、この分野ではチャレンジャーなのです。だからといって他の看板商品と似たようなものを出しても消費者には響かないので、新たな“挑戦”としてお店で揚げるカレーパンにしたのでしょう」

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