真壁昭夫 行動経済学で読み解く金融市場の今

4度目の緊急事態宣言で迷走続く菅政権 “心のゆらぎ”が招く悲劇

 欧米や中国などの事例を見ても明らかなように、政策は「二兎」を追っても上手く機能しない。ところが、わが国の対策を見ていると、「経済」と「命」を両天秤にかけて、結局はどっちつかずで一兎も追えていない。これこそ目先の損失をとりあえず回避したいという「近視眼的損失回避」であり、残念ながら長期的な視点は見えてこない。

 短期的な痛みを伴いつつも、一方を優先して徹底的に対策したうえで、もうひとつの課題を解決していかなければ、どちらも根本的な解決には至らないだろう。現状では「命」が最優先なのは言うまでもないが、その判断でゆらいでいる日本は本当に“悲劇”としか言いようがない。

【プロフィール】
真壁昭夫(まかべ・あきお)/1953年神奈川県生まれ。法政大学大学院教授。一橋大学商学部卒業後、第一勧業銀行(現みずほ銀行)入行。ロンドン大学経営学部大学院卒業後、メリルリンチ社ニューヨーク本社出向。みずほ総研主席研究員、信州大学経済学部教授などを経て、2017年4月から現職。「行動経済学会」創設メンバー。脳科学者・中野信子氏との共著『脳のアクセルとブレーキの取扱説明書 脳科学と行動経済学が導く「上品」な成功戦略』など著書多数。

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