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【日本株週間見通し】今週の日経平均は堅調に? 企業決算も終盤

 先週、米連邦準備制度理事会(FRB)のクラリダ副議長は足元の物価や雇用の動向を踏まえて「政策金利の引き上げに必要な条件は2022年末までに達成されているだろう」と述べた。また、FRBのウォラー理事も、「7月、8月分の雇用統計はいずれも“非常に高い数字”が出ると期待している」と述べた。一部では100万人増の強気予想もあるようだ。市場予想通りの力強い労働市場の回復結果が示されれば、景気回復期待が強まり、景気敏感株の追い風となりそうだ。足元で長らく低下基調にある米長期金利が上昇傾向に転じれば、連動性の高い日本株への支援材料にもなろう。

 一方、強気に傾いている市場予想に反して雇用者数の伸びが大きく鈍化するようなことがあると波乱となりうる。米中二大国の景気指標にピークアウト感が出てきており、米長期金利の低下基調と併せて景気減速懸念が強まっているなか、労働市場の回復ペースにも明確な鈍化が見られれば、景気回復に対する疑念が一段と強まりかねない。その場合、足元では世界的に新型コロナウイルスのデルタ変異株の拡大が影を落としている中でもあり、景気敏感株の売り材料となる可能性がある。

 そのほか、今週は米国で消費者物価指数(CPI)や企業物価指数(PPI)が発表される。前回6月分のCPIでは前月比で伸びが鈍化するとの市場予想を大幅に上回り、前月比での伸びは2倍程加速した。今回、市場予想では前月比で伸びが半分程に鈍化する見込みとなっているが、仮に今回も市場予想を上回り前月比で伸びが加速するとなると、これまでFRBが繰り返し強調し、投資家の間でも浸透してきた「インフレは一過性」との前提が揺らぐ恐れがある。可能性としては低いが、その場合、足元で低下基調の米10年物国債利回りが再び上昇傾向に転ずる可能性もある。市場では“インフレ加速・長期金利上昇”を前提としたリフレトレードが再来することになるだろう。

 また、10日にはソフトバンクG<9984>が決算を発表する。日経平均株価への指数寄与度も大きいだけに注目される。前回の本決算発表時には過去最高となる最終利益を叩き出したが、株価はむしろそこから本格的な下落トレンドが始まり、日経平均の軟調さにもつながってきた。相場全体のムードも左右しかねないため、決算と株価反応に注目したい。

 なお、今週は9日に中国7月消費者物価指数、中国7月生産者物価指数、国内市場は山の日振替休日で休場、10日に7月景気ウォッチャー調査、独8月ZEW景況感指数、11日に7月工作機械受注、米7月消費者物価指数、米7月財政収支、12日に7月都心オフィス空室率、米7月生産者物価指数、13日に8月限オプション取引に係る特別清算指数算出(SQ)などが予定されている。

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