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【日本株週間見通し】日経平均は方向感に乏しい展開か

 そのほか、米中の経済指標が多く発表される。中国では国家統計局が発表する8月製造業/非製造業購買担当者景気指数(PMI)のほか、民間版の8月財新製造業PMIが、米国では米サプライマネジメント協会(ISM)が発表する8月の製造業/非製造業景況指数のほか、8月消費者信頼感指数などが予定されている。

 米中の経済指標の下振れ傾向を受けて景気減速懸念が強まってきてたこれまでの経緯を踏まえれば、注目度は今まで以上に高い。仮に中国製造業のPMIが好不況の節目である50を割り込むとなると、中国の景気動向と特に結びつきが強い機械株にとっては更なる重しとなるだろう。米ISM製造業景況指数も、前月比で鈍化が続けば、広く景気敏感株の売りにつながりそうだ。

 また、8月ミシガン大学消費者態度指数が10年ぶりの低水準となったことが、米景気の減速懸念を強めた先日の経緯を踏まえれば、より調査対象が広い消費者信頼感指数にも注目だ。米個人消費者マインドの悪化は、相場全体に広く重しとなりかねないため軽視できない。

 他方、日本国内では依然として新型コロナウイルスの感染動向に予断を許さない状況が続いている。緊急事態宣言の対象地域には更に北海道や愛知など8道県が追加され、高止まりした国内の新規感染の状況を踏まえれば、日本株の上値圧迫要因として引き続き意識されそうだ。

 一方、客観的なデータに目を向けてみると、全国の新型コロナ新規感染者数は8月半ばをピークに鈍化してきたとみえる兆候が出てきている。社会的にはピークアウトを議論するのは時期尚早だろうが、株式市場では早くも転換点として捉えられそうだ。

 直近では、食品医薬品局(FDA)が米国内で初めてファイザー・独ビオンテック製の新型コロナワクチンを正式承認したことや、ジョンソン・エンド・ジョンソンが、ブースター接種を巡る臨床試験データで効果的な免疫反応を確認したと発表したことなどもあり、先週は、陸運や旅行関連などアフターコロナ関連銘柄が久々に動意づいていた。今週も、米雇用統計を前に景気敏感株やハイテク株の売買が手控えられれば、消去法の選択肢として、アフターコロナ関連銘柄に引き続き物色が向かうことが想定される。

 なお、今週は30日に7月商業動態統計、米7月中古住宅販売仮契約指数、米決算:ズーム、31日に7月失業率・有効求人倍率、7月鉱工業生産、決算:トリケミカル研究所、ラクーンHD、中国8月製造業/非製造業PMI、米6月S&Pコアロジック・ケース・シラー住宅価格指数、米8月消費者信頼感指数、9月1日に4-6月期法人企業統計、8月新車販売台数、決算:伊藤園、中国8月財新製造業PMI、米8月ADP全米雇用リポート、米8月ISM製造業景況指数、2日に米7月貿易収支、米決算:ブロードコム、3日に米8月雇用統計、米8月ISM非製造業景況指数などが予定されている。

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