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みずほ銀行システム問題の“病巣”は根深い 金融庁も背水の陣で対応

 過去2度のシステム障害を経て、みずほ銀行は開発費用約4500億円、開発工数が推定35万人月(人数×月数)という大規模なシステム移行作業を行ない、2019年に新システム「MINORI」を完成させた。

 にもかかわらず、問題は繰り返された。新システムには日本IBM、富士通、日立製作所にNTTデータを加えた4社が参画した。これだけの巨大システムの管理に関わるのは、金融庁でも困難という見方もある。ある銀行のシステム開発担当者からは「巨大な銀行システムの管理運用には数百人規模の人員や委託先のSE(システムエンジニア)などの専門家が数多く関わるものだ。金融庁はIT企業経験者などの中途採用に力を注いではいるが、巨大なシステムが相手では、人材の数も能力もまだ足りない」との声が聞こえてくる。

「みずほのシステムにはあまりにも多くの企業が関係しているので、放っておけば責任の押し付け合いになりかねない。現実的には、金融庁はそれを防ぐ役割を担うということだろう」(同前)

 今後の検査次第では、10年前の業務改善命令で当時の頭取が引責辞任に追い込まれたように、経営トップの去就問題にまで発展する可能性もある。

 みずほ銀行は異例の“公的管理”と言われていることについて、「今回の業務改善命令は、あくまで〈みずほ〉の自立的な取り組みが求められているものと認識しており、お客さまに安全にかつ安心してサービスをご利用頂くことに集中し、しっかり取り組んでいく」(コーポレート・コミュニケーション部)との見解を示した。

 先行きは不透明だ。

「長官の中島氏は理系出身だけあって厳格な人物であり、浪花節は通用しない」(前出・真壁氏)とされるなか、“ジミー中島”が率いる金融庁がメガバンクに斬り込んでどのような結果を出せるのか。預金者が安心できる状態を回復することが望まれる。

※週刊ポスト2021年10月15・22日号

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