秋山博康 刑事バカ一代

元徳島県警・リーゼント刑事 新人時代の“フン闘”エピソード

『太陽にほえろ!』のような刑事生活を想像していたが…(イラスト/友利琢也)

『太陽にほえろ!』のような刑事生活を想像していたが…(イラスト/友利琢也)

 徳島県警を退職後は犯罪コメンテーターとして活躍する「リーゼント刑事」こと秋山博康氏の連載「刑事バカ一代」。秋山氏が刑事を志したきっかけや、理想と現実の差を痛感した出来事を綴る。

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 おはようさん、リーゼント刑事こと秋山博康です。

 緊急事態宣言は解除されたものの、コロナ前の日常が戻るのはまだ先みたいやね。早く時間を気にせず飲みに行きたいのう。

 コロナで在宅が増えたせいか、警察庁が調べた去年の住宅対象侵入窃盗(泥棒)の認知件数は、前年比マイナス27.3%だった。それでも1日あたり約58件の窃盗が発生しとるから気は抜けん。

 実は、ワシが刑事を目指したきっかけも泥棒だった。小4の夏休みの深夜、トイレがしたくなって目覚めたと同時に、パリンとガラスが割れギシギシと廊下を歩く音が……。「人殺しや」と金縛り状態になった。親父が「誰な!」と一喝し泥棒は逃げたけど、ワシは怖くて震えが止まらんかった。

 その時、駆けつけた刑事が「オッチャンが必ず犯人を逮捕したる」と言ってくれて、恐怖心が消えるとともに「このオッチャンみたいになりたい」と心に誓ったんや。

 一日も早く刑事になりたかったワシは、高校卒業と同時に徳島県警に就職した。警察学校を終えて配置されたのは、徳島市内の繁華街にある派出所。刑事になるため無我夢中で仕事に励み、非番日でも盗難自転車の張り込みをして、よう自転車泥棒を捕まえた。酔っ払ってツバを吐いてきた男に得意の背負い投げをしかけたら、男の背後にいた先輩警官まで一緒に投げ飛ばしたこともあったのう(笑)。

 23歳の時に鳴門警察署捜査係の辞令を頂き、夢がかなって“リーゼント刑事”が誕生した。しかし喜びも束の間で、辞令を受け取った直後に水死体の発見現場に直行することを命じられたんや。

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