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田代尚機のチャイナ・リサーチ

中国「共同富裕」が株価高騰を後押し 成熟市場で高収益の白酒、搾菜メーカー

コロナ禍でも高収益を維持する貴州茅台(CFoto/時事通信フォト)

コロナ禍でも高収益を維持する貴州茅台(CFoto/時事通信フォト)

 中国当局が目指す「共同富裕」の促進は消費関連企業にとって有利に働く。消費関連セクターの代表として、中国の伝統的な蒸留酒、白酒メーカーが挙げられるが、中でもそのトップブランドである貴州茅台(600519)は、機関投資家の評価も高い。いったいどんな魅力があるのだろうか。

 過去の株価(調整済み株価)の推移をみると、随分と大きな値動きとなっている。習近平政権が誕生した直後には、汚職撲滅運動の一環として過度の接待が厳しく制限されたことなどから業績は伸び悩み、株価は低迷。2014年1月8日には安値15.12元を付けている。しかし、そこから反転、大きな上昇トレンドが発生した。2021年2月18日には2608.59元の過去最高値(場中ベース)を付けており、株価は7年強の間に173倍に跳ね上がった。

 ただ、その後は、米中関係の悪化、独占禁止法強化に対する懸念などから売りがかさみ、11月22日は1854.27元で引けている。もっとも、下げてはいるがバブル崩壊といったレベルではなく、3割弱の下落に留まっている。

 機関投資家の評価が高い理由は、同社のブランド力が極めて高く、収益が安定していて、かつ着実に成長しているからである。

 23年前の1998年12月期の業績をみると、売上高は6億2800万元(112億円、1元=17.8円で計算、億円以下は四捨五入、以下同様)、純利益は1億4700万元(26億円)であった。そこから2020年12月期まで23期連続で増収増益を続け、売上高は980億元(1兆7483億円)、純利益は470億元(8385億円)に成長している。この間業績が低迷したのは、2014年12月期から2016年12月期までの3期だけであり順に、4%増収1%増益、4%増収1%増益、20%増収8%増益であった。

 しかし、2017年12月期には52%増収62%増益と大きく復活、その後も2020年12月期まで二桁増収二桁増益を続けている。2021年についても、1-9月期は11%増収10%増益で、昨年来、新型コロナ禍の影響を受けつつも、高成長を維持している。

 同社の収益は白酒、それも高級白酒が収益の大半を占めている。価格維持のために独占禁止法に問われるリスクを常に背負いながら、直営ではない卸売部分の営業網についてもうまくコントロールし、そのブランド力を高めており、2021年1-9月期の粗利益率は91%、純利益率は48%と驚異的な収益力を維持している。

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