家計

捨てるに捨てられない「小銭クーポン」の魔力からどう逃れるか

最近はレシートにクーポンが付いていることも多い(イメージ)

最近はレシートにクーポンが付いていることも多い(イメージ)

 貯めたいのに貯まらない……それには必ず理由があり、無意識のうちにちょっとしたムダ遣いを積み重ねていることが多い。50才のときに貯金ゼロに陥ったという、女性セブンの名物記者“オバ記者”こと野原広子さんが、日常的に体験している“無駄”のひとつとして、クーポンにとらわれてしまう生活を告白する。

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「あ、クーポン出てますね」。スーパーのレジでこう言われると、うれしくなるのは私だけかしら。レジ係のお姉さんの「あ」に「当たり!」のニオイがして、元ギャンブラーの血が騒ぐのよ。

 元ギャンブラーと言ったついでに話すと、私のようにギャンブルで身を持ち崩した人間の特徴は、人よりほんの少しくじ運がいいことなの。亡くなった年子の弟は子供の頃、駄菓子屋で私がくじを引くと「当たる」と思って見ていたんだって。だけど当の私は、当たって当たり前で、外れると「たまにこういうこともあるか」と思っている。こういう“何様人間”が大人になってサイコロを振り出したら、まあ、ロクな人間にはならないわね。

 それで行き着くところまで行って、50過ぎてギャンブルから足を洗ったんだけど、それでも運にはとても敏感で、特定の日までに買い物をすると100円引きになるクーポンとはいえ、当たりは当たり。目に星が灯るわけ。

 100円の紙切れがものすごくありがたいかというと微妙だけど、クーポンをポイ捨てしたりするとバチが当たるんじゃないかと思う。で、財布の中に仕舞い込む。さあ、それからよ。

 買い物ができる期限は刻々と迫るけれど、なぜかその店の方向に行く用事がない。最終日の夕方、ムリすれば行けるかもと思いつつ、たいがいは別のことに気を取られているうちに期限が過ぎ、それに気づいたときに100円の運を生かせなかった自分を呪うことになるの。

 道で配られている貴金属店や高級エステの1万円引きのクーポンは、その場で捨てて何とも思わないのに、使えそうで使えない小銭クーポンが刺さるのは、自分の財布の小ささと、人間の小ささだなと思い、それならいっそ、その場で捨ててやろうと思うのに、レジで「あ」を聞くと全部忘れて手を出してしまうのでした。

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