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「社会保険料の2025年問題」団塊世代の後期高齢者入りで負担増の矛先は

 加えて、1か月の医療費自己負担が一定範囲内で済む「高額療養費制度」についても、自己負担限度額(上限額)が引き上げられる形での負担増が想定されるという。

 介護が必要な高齢者にも、容赦ない負担増が待ち受けている。2021年4月に引き上げられた介護保険料は、2024年にも再び引き上げられる見込みだ。

 また、2021年8月の制度見直しにより、必要な介護サービスが公平に受けられることを目的とした「高額介護サービス費」の自己負担限度額が一部の所得層で引き上げられた。収入等に応じて1か月の自己負担額に上限を設け、超過した分は申請により払い戻される制度だが、これまで最大で月4万4000円だった限度額は、課税所得380万円以上の高齢者がいる世帯で月に最大14万円まで引き上げられた。

 相次ぐ負担増により、介護施設の入居審査にも異変が起きている。都内の介護事業所に勤務するケアマネジャーが語る。

「一部の介護付き有料老人ホームでは入居の審査が厳しくなっています。入居一時金不要の施設では、保証人の年収などの審査を厳格化しているところがある。老老介護時代、親子ともに年金収入のみという場合は、一層、施設入居のハードルが高くなる可能性がありそうです」

 一連の負担増は、団塊ジュニアも直撃する見込みだ。医療財政が逼迫して健康保険料率引き上げの動きが相次ぎ、今後もそれが続くのは確実だろう。年金も支給開始年齢の段階的な引き上げなど給付カットが議論の対象となってくる。

「社会保険料の2025年問題」は今の現役世代にとっても危惧される状況であり、こうした難局が予想されるからこそ、今からの対策が急務となるのだ。

※週刊ポスト2022年3月4日号

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