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変わる3メガバンク 3万人超の銀行員が消える、コスト削減で支店も激減

3メガバンクの人員・店舗減の見通し

3メガバンクの人員・店舗減の見通し

 人員削減の前提となるのはデジタル技術の導入による省力化と効率化だが、その導入と定着、現場への浸透には課題が多い。課題が解決される前に人手が減ってしまえば、逆に現場の負担が増えてしまう。

 その影響は、利用する顧客にも及ぶ。銀行の店舗削減でもともと口座のあった支店がなくなり不便を感じているという70代男性が言う。

「長いこと利用してきた支店が、別の支店に統合された。移転に伴う口座番号の変更などはないが、統合先の支店は自宅から車で20分ほどの距離にあり、駐車場もないので非常に不便。しかも駅前だから利用者が多く、常に混雑しているんです」

 三菱UFJ銀行は2023年度末までに、全国の支店の過半数で対面窓口を省くなど店舗の簡素化を図る計画だ。窓口をなくす代わりに、テレビ電話での各種手続き受け付けや、資産運用相談窓口に特化するという。同行は2017年度末に515店あった従来型店舗を、2023年度末までに約320店まで減らす計画も同時に進める。

 また、三井住友銀行では2022年度末までに、既存店舗の4分の3にあたる300店舗が個人の資産運用相談に重点を置く「軽量店」に転換される予定。こうした店舗改革により、2200人分の業務量が削減されて250億円のコスト削減につながると見積もられている。法政大学大学院教授の真壁昭夫氏が指摘する。

「メガバンクは好立地の駅前に店舗を構え、街頭に多数のATMを設置してきましたが、その営業スタイルを続けるには膨大なコストがかかる。近年はコンビニのATMやインターネットバンキングを利用する人が増えており、店舗を構える必要性は低下しています。今後ますますIT化・デジタル化が進み、さらに店舗数は減っていくと予想されます」

 銀行業務全般のさらなるデジタル化や機械化の先行きについて、前出・浪川氏はこう見る。

「当面は融資業務の担当者を削減することは難しいと思いますが、いずれはAIによる与信判断が拡大し、その部署の人員は抑制・縮小されるでしょう。店舗の後方で仕事をする事務行員たちはいなくなり、相続や老後資金の確保、資産運用など“稼げる分野”への配置換えが加速することになると考えられます。つまり、これからの銀行員はジェネラリストではなく、金融サービスのスペシャリストが生き残っていくことになるでしょう」

※週刊ポスト2022年3月18・25日号

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