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「悪いインフレ」に陥る瀬戸際の日本 回避には内需依存型経済への大転換が必要

 まさに日本は「悪いインフレ」に陥るかどうかの瀬戸際にある。不況下の物価上昇を戦後の日本はほとんど経験したことがない。

「だからこそ、今回のインフレを機に政府がお金の流れを大胆に変えれば、日本経済を浮上させるチャンスになり得る」

 そう指摘するのは資産運用コンサルタントの岡山憲史・マーケットバンク代表だ。

「現在の日本は外需依存型の経済で、大企業は国内でモノを売るより世界に売ったほうが業績が上がる。石油など輸入物価高騰と円安で多くの国民は生活を脅かされているのに、大企業はその円安がプラスになる。自動車、電機など輸出大企業の社員は春闘で賃上げの恩恵を受け、99.7%を占める中小企業の社員は恩恵を受けていない。それが個人消費が伸びず、デフレを脱却できない大きな原因です。だからこの機会に内需依存型に経済を大転換するのです」

 ウクライナ危機で日本の方向性が見えた。

「日本は農産物も生活必需品も国内で生産できるのにコストの安い海外から輸入している。米国やフランス、ドイツは食料自給率が高いが、自給率の低い島国の日本は今回のような戦争が起きると、輸入が止まるリスクがあることがはっきりした。それなら、政府が『内需拡大』の目標を掲げてリーダーシップを取り、農産物に限らず、国内の生産率を大幅にアップし、輸入に頼らなくても自立できるような経済に転換する。それが悪いインフレを防ぎ、賃上げと消費拡大による物価上昇という良いインフレへと変える道なのです」(岡山氏)

※週刊ポスト2022年4月8・15日号

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