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20年後の日本の医療制度はこうなる 90歳でも3割負担、医療格差も鮮明に

20年後の日本の医療制度はどうなっているのか(イメージ)

20年後の日本の医療制度はどうなっているのか(イメージ)

 長寿化が進み、最近では「人生120年時代」の到来を予測する専門家もいる。そのように語られる根幹には、医療の進歩がある。日本人の死因第1位のがんも新たな治療法が開発され「治る病気」に変わりつつある。万人に訪れるはずの「老化」も、アンチエイジング医療の進歩で克服できるとの説が語られ始めた。

 だが、医療ガバナンス研究所理事長の上昌広医師は、「その恩恵を受けられるのは一部の富裕層だけだ」と指摘する。

 今年10月から、75歳以上の後期高齢者の医療費自己負担割合が変更され、「一定の所得がある人」(年金などの収入合計が単身で年200万円以上または夫婦で320万円以上の人。世帯の状況により異なる)は医療機関窓口での負担が1割から2割に上がる。倍額の負担となるため、向こう3年間は外来診療での負担増加額を月3000円までとし、超えた分は払い戻される緩和措置が導入されるという。

 だが上氏は、65歳以上の人口がピークを迎える20年後には「所得に関係なく、すべての世代で3割負担になる」と予測する。つまり今1割負担の75歳の人はより身体が衰える95歳になる頃には、今の3倍の負担になるということだ。

 さらに、もう1つ“大きな問題”が生じる恐れがあるという。

「逼迫する財源を確保するために、負担額だけでなく『免責事項』となる医療行為をどんどん増やしていくと思われます。副作用が少なく効果が高い先端医療は高齢者向けと言えますが、それらについて、『まだ有効性や安全性が確認されない』などと理由をつけて保険適用せず、全額自己負担にするという意味です」(上氏)

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