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「所在不明高齢者」の相続トラブルが増加 相続登記の義務化で問題噴出懸念

2010年には戸籍上は生きているはずの111歳男性がミイラ化した状態で見つかり「所在不明高齢者」の問題が注目された(時事通信フォト)

2010年には戸籍上は生きているはずの111歳男性がミイラ化した状態で見つかり「所在不明高齢者」の問題が注目された(時事通信フォト)

 そうしたトラブルに巻き込まれないための対策としては「不備のない遺言書を残すこと」だと吉澤氏は続ける。

「法的に有効な遺言書があれば、面倒なトラブルを防げます。所在不明の相続人が兄弟姉妹甥姪以外であれば遺留分(法定相続人に認められる最低限の遺産取得分)の問題が残りますが、不明者が亡くなっているなら請求されることはないし、後に生きていたことがわかり請求されたとしても、遺留分に見合うお金を払えばいい。とにかく注意すべきは、遺言書に不備がないかです。財産はもちろん、日付、捺印に漏れがあると致命的です」

 遺言書に不備があると、お金も手間もかかる相続になりかねないわけだ。

再来年にトラブル急増危機

 今後、「所在不明高齢者」が原因の相続トラブルは増えていく可能性がある。元家庭裁判所書記官で遺産相続問題に詳しい藤井伸介弁護士が言う。

「再来年の4月1日から『相続登記』が義務化されます。相続した際に不動産の名義を書き換えずに放置すると過料が科されることになるため、相続登記が急増すると考えられます。その際に登記上の所有者が所在不明の高齢者になっていて、失踪宣告の手続きをしないといけないケースが数多く出てくるでしょう。

 東日本大震災後の復興に際して、所有者不明の土地や生きていれば120歳以上の人が所有者といった事例が大量にあって問題になりましたが、土地登記の実態はかなりいい加減で、相続登記の義務化を機に問題が噴出すると懸念しています」

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