住まい・不動産

脱サラして「古民家そば店開業」なぜ失敗? 地方移住への憧れが生む落とし穴

憧れだけでは通用しない(イメージ)

憧れだけでは通用しない(イメージ)

 近年、地方移住がブームだが無謀な計画で“第2の人生”を台無しにしては元も子もない。定年退職後に陥りやすい、地方移住の落とし穴にはどんなものがあるのか? 実例をもとに考察してみよう。

 55歳で早期退職した静岡県在住の男性・Aさんは脱サラして事業を興すも失敗。思い描いていた「憧れの田舎暮らし」と「悠々自適な生活」は叶わなかった。Aさんは、当時のことをこう振り返る。

「もともと“田舎暮らしもいいな”と思っていたので、東京から妻の出身地である静岡県の山間部に移住しました。せっかく第2の人生をスタートさせるのだから、趣味のそば打ちを極めてそば職人になろうと1年間修行して自分の店を開きました。古民家を改修して雰囲気のある本格的な手打ちそば屋をと思ったのですが……初めの頃は足を運んでくれた妻の友人や親戚もそのうち来なくなり、客足が途絶えて2年で閉店しました。未経験からの脱サラは甘くなかったです」

 肩を落とすAさんは古民家のリフォーム代や材料の仕入れ費用、生活費で退職金のほとんどを使い果たしてしまったという。こうした失敗談は、Aさんに限った話ではなではない。では、定年後の地方移住を成功させる秘訣はどこにあるのか。地方移住者を支援するNPO法人「ふるさと回帰支援センター」の担当者が指摘する。

「田舎暮らしがテレビや雑誌で頻繁に取り上げられ、そういった情報で成功例だけを見た人が準備も十分でないままに田舎に移住してしまうケースが少なくありません。“農ある暮らしで悠々自適”といったイメージ先行で決めてしまうと現実の厳しさに挫折しやすい。

 地方移住を成功させるには『仕事』『住まい』『地域との繋がり』という3つの課題があり、それらをクリアしていく必要があります。田舎は意外とお金がかかるので生活費を補う仕事があるか、住める状態の住居を確保できるか、地域住民とやっていけるコミュニケーション能力があるかが問われます。その上でどういう生活をしたいのか、できるのかを考えて妥協点を見つけていく。地方移住が目的になってしまうと厳しいでしょう」

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