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日本は「自然エネルギー大国」になれるか 太陽光、陸上・洋上風力、巨大発電所をゆく

自然保護との両立を目指す「パシフィコ・エナジー作東メガソーラー発電所」(岡山県美作市。撮影/太田真三)

自然保護との両立を目指す「パシフィコ・エナジー作東メガソーラー発電所」(岡山県美作市。撮影/太田真三)

 脱炭素の必要性に加えて、ロシア産石油の禁輸や過度な円安による電気代高騰のなか、自然エネルギーへの関心が一気に加速している。これまで資源を外国に頼り続けてきた日本は、科学技術を駆使して「自然エネルギー大国」になれるのか。

 石油や石炭のように消費すると枯渇するエネルギー源と異なり、太陽光、風、水力などの自然現象をエネルギー源として利用すれば、いくら消費しても減ることはない。日本の電源構成はLNG(天然ガス)や石炭など化石燃料が約4分の3を占め、原子力が3.7%。対する自然エネルギーは約20%で、主力は太陽光である。2009年からは「太陽光発電の余剰電力買取制度」がスタート、一般家庭でもソーラーパネルを屋根に備え付けておけば売電できるようになり、一気に普及が進んだ。

 だが、国による買取価格の保証は10年間のみのため、買取価格自体は下落傾向にある。加えて太陽光パネル関連業者の倒産率は高く、パネル故障時に補償が受けられなくなる事態に陥る人も少なくない。それでも太陽光事業への参入者が引きも切らないのは、やはり風力や水力より圧倒的に設備が安価だからだ。

 近年、1MW(メガワット)以上の出力能力を誇る大規模な発電施設「メガソーラー」が増えている。1MW規模のメガソーラーが発電する量は、太陽の照らない夜や曇天の影響を含めても、平均して一般家庭300世帯分をほぼ賄える計算となる。

 CO2排出の心配もないのでいいことずくめかと思いきや、樹々を伐採した広大な山肌にパネルを敷き詰めるメガソーラーは、ときに「自然破壊」「土砂崩れを招く」と批判を受ける。それに対し、メガソーラー事業者のパシフィコ・エナジーは、できうる限りの自然保護を謳う。「整地時に農薬は撒かない」「希少な動植物は他の地へ移す」「治水対策用の調整池を整備し、水生生物や水鳥の生育を観測」と、パネルの設置とメンテナンスだけで仕事を終えない姿勢を見せている。

■岡山県美作市「パシフィコ・エナジー作東メガソーラー発電所」

 リゾート開発跡地やゴルフクラブのコース跡地を利用するなど、新規の樹木伐採をできるだけ避けた用地を選んで建設された太陽光発電所。面積は約400ha、約75万枚の太陽光パネルを設置し、発電規模は257.7MWと日本最大だ。

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