住まい・不動産

自宅のバリアフリー改修 洋式便座への変更は必須、「開き戸→引き戸」も早めに

元気なうちに済ませておきたいバリアフリー改修とは?(イメージ)

元気なうちに済ませておきたいバリアフリー改修とは?(イメージ)

 歳を重ねると、足腰の筋力が落ちることで自宅での転倒やつまずきが増える。それを予防するためには、体が動かなくなる前に部屋と廊下の段差を解消したり、階段に手すりをつけるといったバリアフリー改修が重要になる。大きな資産である「住宅の寿命」を延ばすことが、医療費を抑えることにも繋がるのだ。

 ただし、工事の規模が大きくなると費用が高額になるため、本当に必要な工事を見極めて改修することが望ましい。高齢者向けのリフォームと福祉用具を専門的に扱う高齢者住環境研究所の溝口恵二郎社長が指摘する。

「バリアフリー改修には元気なうちに済ませておきたいものと、後々無駄になりがちなものがあります。自宅の段差の解消といった大掛かりな改修は体が動くうちに行なうのが望ましい。反対に、とりあえずつけたものの邪魔になってしまうものもあります」

 別掲の表を参照しながら、「なるべく早めに行ないたい改修」「足腰の衰えといった体の変化に合わせて行ないたい改修」「無駄になりがちな改修」と3つに分類してポイントを解説していく。まずは、早めに考えたい改修から。

「古い住宅に特徴的に見られる不便さを真っ先に解消するとよい。まず、和式便座はしゃがむのが大変になってくるので洋式便座への変更は必須。

 そして、家の段差は放置すると足腰が弱った時に転倒するリスクが高まる。古い家屋は廊下のほうが部屋より低く設計されていることが多く、廊下の高さを上げるか部屋の高さを下げるかの工事が必要です。床を壊したりと大掛かりになるため、車椅子になってからの改修では負担が大きくなります。廊下から部屋に上がるのが大変だと感じるようになったら、早めに改修を考えるといいでしょう」(溝口氏)

 費用は、便座の交換で約20万~30万円。段差解消の工事は床を上げる場合は建材を床に敷き詰めるだけなので割安だが、下げる場合は一旦床を壊す必要があるため倍の費用がかかる。6畳間の床を下げる費用の目安は約40万円となる。

 開き戸から引き戸への扉の変更も、将来を見据えて早めに行なうのが望ましい。

「手前に開くタイプの扉だとぶつかって転倒するリスクが高まり、車椅子になった時にはいちいち後ろに下がるなどストレスを感じるようになります。引き戸への変更が選択肢ですが、予算は一つ10万円ほどになります」(同前)

 大掛かりな改修を済ませてしまえば、QOL(生活の質)を向上できる。

※週刊ポスト2022年9月2日号

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