森口亮「まるわかり市況分析」

ジャクソンホール会議後に米国株が大幅下落 「6月以降の上昇相場は“本物”なのか」過去相場から検証

「ブルトレンド入り」か「ダマシ」か

 ここで、先行性が高いと言われるラッセル2000の過去の値動きを検証してみましょう。1998年以降を振り返ってみると、今回同様、ラッセル2000が底値から20%以上上昇したケースは6回存在します。そのうち3回は、20%以上の上昇後にブル(強気)トレンド入りし、高値更新となっていました。

 一方、残りの3回のケースでは20%以上の上昇でも高値更新とはならず、「ダマシ」(一度上昇したが、その後再び下落に転じること)となって、その後安値を更新しました。

 今回のケースはどちらに当てはまるのでしょうか。もう少し詳しく分析してみましょう。

 ラッセル2000が「ダマシ」になった3回は、2000年3月からのITバブル崩壊、2007年6月からのサブプライムショック、リーマンショックでの下落、2018年のVIXショックからのコロナショックまでに至る下落でした。その3回に共通していたのは、いずれも「景気後退入り」していた局面だという点です。景気後退入りしている局面でも、一時的に20%近く上昇する局面もあったのです。

 では、これから景気後退が起こるのでしょうか? アメリカのGDPは2四半期連続のマイナス成長となっており、経済指標上では、「テクニカル・リセッション(景気後退)」といわれています。また、債券市場では景気後退の先行指標と言われる「逆イールド」が発生しています。とはいえ、雇用は伸びているなどの面から見ても、本格的な景気後退とは断言はできない状況です。

 今後の焦点は、本当に「景気後退」になるのか、景気後退となったとして、ハードランディング(急速な失速)なのか、ソフトランディング(軟着陸)なのか、という点です。これらの要素によって、今後の株式市場の動きは大きく変わってきます。引き続き、経済指標と金融政策の内容変更によるマーケット動向には注視しておきたいところです。

【プロフィール】
森口亮(もりぐち・まこと)/個人投資家、投資系YouTuber。1983年、埼玉県生まれ。元美容師。「Excelで決算数値を管理して、有望な成長株を中・長期的に狙う」という手法で資産を10倍に。その後も着実に資産を増やしている。著書に『1日5分の分析から月13万円を稼ぐExcel株投資』(KADOKAWA)がある。YouTube「毎日チャート分析ちゃんねる」やnote(https://note.com/morip)を日々更新中。

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