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坂上忍が取り組む動物保護活動 私財3億2000万円を投じて「持続可能な事業」を目指す

保護犬や猫たちと楽しく暮らす

保護犬や猫たちと楽しく暮らす

「どうせやるんだったら、自力じゃなきゃつまらない」

「さかがみ家」の一日は、朝6時の犬の散歩から始まる。4組に分かれて交代で散歩する間、猫の当番は掃除や食事の支度などを行なう。その後、病院やトライアル(試験的譲渡)先へ連れて行ったり、芝刈りをしたりなどの作業が続く。

 世話をするのは、坂上と交流のあるタレントたち。俳優の野々村真をはじめ、8名の芸能人がスタッフとして名を連ねる。俳優の古山憲太郎(46)もその一人。

「私は動物と関わることがほとんどなく、保護活動についてもほぼ何も知りませんでした。でも、忍さんからお話を聞いて、ぜひ一緒にやってみたいと思い参加しています」(古山)

 寄付なしの保護活動は並大抵のことではない。2013年に改正された動物愛護管理法で、保護団体は動物の売買が禁じられている。開設から約5か月、「さかがみ家」はほとんど収益を出せず、坂上の「持ち出し」で運営されている。オープンした今年4月以降、建設や運営費などで3億2000万円を投じた。しかし、かねてから構想していた収益化計画がいよいよ実行に移されようとしている。

 9月16日に開設した「さかがみ家」ホームページではTシャツやおやつ、消臭スプレーといった動物関連グッズの販売に乗り出す。翌17日からは、1か月限定で「さかがみ家カフェ」をオープン。ペット同伴可のカフェで、坂上氏プロデュースによる「犬も楽しめるメニュー」も用意する。

 さらに大きな構想も進行中だ。一般的に里親になるには飼育環境が重視される。一人暮らしや高齢者などへの譲渡は難しい。坂上は、その点をフォローできる体制を考えている。不測の事態が起これば、動物が再び「さかがみ家」に戻ってこられる仕組みを構築し、自力運営の光明を見出そうとしている。将来的には獣医院開設も視野に入れている。

「どうせやるんだったら、自力じゃなきゃつまらない。やってやれないことはないという根拠のない自信があります」(坂上)

「保護活動の世界では新参者」と謙遜するが、豊かな発想力は、常識を大きく変える一歩になるかもしれない。

「さかがみ家カフェ」としてオープンする、木更津港のカフェ「HARBOR NICE DAY!」

「さかがみ家カフェ」としてオープンする、木更津港のカフェ「HARBOR NICE DAY!」

■「さかがみ家カフェ」(*9月17日から1か月限定でオープン)
千葉県木更津市富士見3-5-9
営業時間:11:00~21:30(20:30L.O.)
定休日:水曜日
公式ホームページ:https://sakagamike.com/

撮影/内海裕之 取材・文/小野雅彦

※週刊ポスト2022年9月30日号

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