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岸田政権が目論む大増税計画 インボイス制度導入が「消費税増税への布石」となるワケ

岸田政権が計画している「増税メニュー」

岸田政権が計画している「増税メニュー」

 いったいどのくらいの増税になるのか。

 現在の防衛費は5.5兆円でGDP比で約1%だが、自民党はNATO並みのGDP比2%に倍増させることを目指している。そのためには年約5兆円の財源が必要になる。それを所得税・法人税(合計税収33.7兆円)の増税で賄うには、15%増税する必要がある。

 その先にあるのが年金生活者にも現役世代にも厳しい消費税増税だ。

 消費税は2019年10月に税率10%に引き上げられ、当時の安倍首相は「今後10年間は上げない」と約束し、岸田首相も昨年の総裁選で「10年程度は上げることを考えていない」と語っていた。ところが、政府税調は10月26日の総会で増税議論を解禁。「今後の高齢化の進展に合わせて、遅れることなく、消費税率の引き上げについて考えていく必要がある」(委員)と見直し議論に着手した。

 経済ジャーナリストの荻原博子氏が語る。

「政府税調は増税とは謳っていないが、税率引き上げを視野に入れているのは間違いありません。すでに布石は打たれている。来年10月に本格導入されるインボイス制度【※注】です。

【※注/消費税の仕入税額控除の方式の1つで、課税事業者が発行するインボイス(売手が買手に対して、正確な適用税率や消費税額などを伝える請求書)に記載された税額のみを控除することができる制度】

 消費税率10%に引き上げられた際、食品などに8%の軽減税率が適用され、複数の税率があるために企業や税務署の作業が大変になった。インボイス方式を導入すると、税を取る側は事務手続きがかなり楽になり、食品は8%、生活必需品は10%、贅沢品は15%などの複数税率が容易になる。商工業者の批判が強ければ、軽減税率をなくしてもいい。

 そうすれば食品も税率一律10%にすれば増税です。いずれにしても、消費税の税率を上げやすくなる」

 年末の税制改正では岸田首相が総裁選で打ち出した株の譲渡益や配当に課税する金融所得課税の強化も議論される。増税のオンパレードなのだ。

※週刊ポスト2022年12月2日号

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