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【復活できない名門「東芝」】経産省の介入が続く限り再建は迷走、血税を失うことに

不正会計問題で引責辞任した歴代3社長(左から西田厚聡氏、田中久雄氏、佐々木則夫氏/時事通信フォト)

不正会計問題で引責辞任した歴代3社長(左から西田厚聡氏、田中久雄氏、佐々木則夫氏/時事通信フォト)

 柳瀬氏の天下り先は東芝クライアントソリューション(現ダイナブック)だった(現在はNTT執行役員副社長)。ちなみに経産省で柳瀬氏の上司にあたり、原発政策を強力に推進してきた今井尚哉氏は、長く安倍首相の秘書官兼補佐官を務め菅政権では内閣官房参与を務めた。天下り先は三菱重工。いずれも原発メーカーと経産省のズブズブぶりを示す事例である。

 今回、東芝買収に名乗りをあげたJIP(※東芝との優先交渉権を持つ国内投資ファンドの日本産業パートナーズ)は、興銀出身の馬上(もうえ)英実氏が2002年にみずほ証券やNTTデータから出資を仰いで立ち上げた投資ファンド。大企業のノンコア(非中核)事業を買収する「カーブアウト」を得意とし、2004年にはNECからレーザー加工機事業を買収、経営を立て直した上で2007年、オムロンに売却した。

 他にも買収実績はあるが、東芝のような巨大企業を丸ごと再生した経験はない。むしろ業界では「手荒なことをしないファンド」と言われており、経産省が睨みを利かす東芝をドラスティックに改革できるような会社ではないだろう。

 今回の買収には「経産省の別ポケット」と呼ばれる官製ファンド、産業革新投資機構(JIC)の影もちらつく。

 当初、JICはJIPと組んで東芝買収に乗り出す計画だったが10月に連合を解消。JIPが単独で買収案を提出した。しかしJICも引き続き買収提案を検討するとされている。

 経産省の介入が続く限り、官僚が主張する「国益」など経済合理性以外の要素が重要視され、結果的には再建が迷走して血税を失い、国益を損なうことになる。

第3回につづく第1回から読む

【プロフィール】
大西康之(おおにし・やすゆき)/1965年生まれ、愛知県出身。ジャーナリスト。日本経済新聞編集員、日経ビジネス編集委員などを経て2016年に独立。『東芝 原子力敗戦』(文藝春秋)『起業の天才! 江副浩正 8兆円企業リクルートをつくった男』(東洋経済新報社)など著書多数。

※週刊ポスト2022年12月2日号

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