森口亮「まるわかり市況分析」

「すでに逆業績相場入り」の声も 株式市場の行方を4つの相場サイクルから読み解く

【2】業績相場とは

 業績相場とは、企業の業績伸長が株価上昇につながっている状態の相場です。2020年の大規模な金融緩和によって上昇した株式市場は、2021年にかけて進んだコロナワクチン接種や規制緩和により、企業業績が回復傾向となりました。そうした中でも金融緩和政策が維持され低金利が続きました。その結果、2021年のS&P500の株価は右肩上がりで上昇を続け、年間で約27%の上昇を記録しています。

【3】逆金融相場とは

 逆金融相場とは、過熱した景気に対して、主に政策金利を上げることで景気にブレーキをかけている状態の相場です。利上げを行うことで金利が上がり、市中に出回るお金の量を減らし、過熱する景気に一時的にブレーキをかけることを目的にしていますが、利上げペースが早すぎると景気に悪影響をもたらすリスクがあります。

 2021年後半、長く続く金融緩和の影響で急速にインフレ率が上がってきた中、2022年3月にロシア・ウクライナ情勢が悪化し、地政学リスクが勃発。エネルギーなどの資源価格が高騰し、インフレ率の上昇ペースが加速してしまいました。

 その結果、各国(日本除く)の中央銀行は2022年に金融緩和から金融引き締めに政策転換を実施。S&P500は、2022年は1月に天井をつけ10月までに年初来高値から約27%の下落となりました。

【4】逆業績相場とは

 逆業績相場とは、金融引き締め政策によって、景気が崩れ、企業業績に悪影響が出て株価が下落する段階です。

 2022年、米国は急激なインフレに対応するために、通常の3倍となる0.75%の利上げを4会合連続で実施しました。12月のFOMCでようやく利上げ幅を0.5%に減速させたものの、FOMC翌日に発表された米小売売上高が市場予想を大きく下回り、消費への影響も懸念され、市場の一部からは「逆業績相場入りしたのではないか」との声も聞こえてきます。

 逆業績相場に入って、強い景気後退局面となるならば、株価の大底はまだ先となる可能性がありますが、「逆業績相場」を抜けた次の相場サイクルは「金融相場」です。

 投資の世界には「落ちてくるナイフは掴むな」(=株価暴落中に買ってはいけない)という格言があります。株価の大底を当てることは非常に困難ですが、次の金融相場に入るタイミングの準備を今からでもしておくことが重要であると考えています。

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