中川淳一郎のビールと仕事がある幸せ

「タイは、若いうちに行け」はもう通用しない 現地で痛感した“安いニッポン”の現実

手を合わせて出迎えてくれるタイのドナルド・マクドナルド(筆者撮影)

手を合わせて出迎えてくれるタイのドナルド・マクドナルド(筆者撮影)

マクドナルドのメニューもタイのほうが高い

 さて、国の経済力を見るにあたり、ひとつの指標となるのが「ビッグマック指数」です。マクドナルドのビッグマックの価格がいくらかでその国の経済状態が分かるというものですが、タイのマクドナルドで実際に売られているセットメニュー(バーガー+ポテト+ドリンク)と日本のセットメニューの価格を比較してみましょう。

 ここでは1バーツ=3.92円で計算します。日本の場合は地域によって価格が異なるため、日本マクドナルドの公式ホームページが掲載している「最安値」を出します。また、タイ国内でも値段が異なるため、私が行ったバンコク市内「プラトゥーナム」のマクドナルドの料金と比較します。

【フィレオフィッシュセット】タイ:180B=706円、日本:670円~
【チキンフィレオセット】タイ:180B=706円、日本:680円~
【ダブルチーズバーガーセット】タイ:210B=823円、日本:700円~
【ビッグマックセット】タイ:220B=862円、日本:750円~

 いずれもタイの方が高いです。1996~1997年にかけ、タイ国際航空がいしだ壱成をCMタレントに起用して「タイは、若いうちに行け」と呼びかけました。ここには、「タイは若者が行くと学びもあるし、収入がそれほどなくても十分楽しめるよ」といったメッセージもあったことでしょう。しかし今、あまりお金を持っていない若者が交通費や宿泊費をかけてでも行くような「安いタイ」ではなくなっているのではないでしょうか。

 あとは、一般的なタイ料理を出す食堂へ行っても、10年前はビールも合わせて2人で1700円ほどだった店が、2500円ほどになっています。タイ・バーツの価値が上がっている(日本円の価値が下がっている)こともあるのでしょうが、タイでは着実に賃上げ・値上げが達成されていると言えるでしょう。

 私は日本人駐在員がいるようなスクンビットエリアを拠点としていないため、日本人には滅多に遭わないものの、一般的な経済状況の日本の若者にとっては敷居の高い国になったのかな、と思いました。同時に「安いニッポン」も改めて感じたのです。

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