中川淳一郎のビールと仕事がある幸せ

マクドナルド値上げ 「59円バーガー」の思い出と「安さこそ正義」への違和感

マクドナルドの値上げをどう受け止めるか(時事通信フォト)

マクドナルドの値上げをどう受け止めるか(時事通信フォト)

 日本マクドナルドは9月30日から約6割にあたる商品の価格を改定した。ハンバーガーは130円から150円に、チーズバーガーは160円から180円に、ビッグマックは390円から410円に値上げされた。ネットには「マックが高級品になってしまった」といった嘆きの言葉も書き込まれているが、「これは許容せざるを得ないのでは。日本人は安くて品質が高いものに慣れ過ぎた」と述べるのは、ネットニュース編集者の中川淳一郎氏だ。いったいどういうことなのか、中川氏が解説する。

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 2000年代前半、デフレが進行し、マクドナルドは130円だったハンバーガーを80円や65円で提供するようになりました。そして2002年には、最安値の59円に。私の子供時代(1980年代中盤)は、210円だったので随分安くなったと感じたものです。

 2002年、ライターになりたての私(28~29歳)は雑用的な仕事ばかりやっていて、かなりの低収入で、その上忙しいという悪循環に陥っていました。

 そんな時に助けてくれたのが、マクドナルドの59円バーガーでした。いっぺんに10個購入し、これを5回分の食事にしていました。ささやかながら、栄養を補給しようとレタスと、スーパーで買ってきたタマネギのスライスを挟み、ピクルスも増量。マヨネーズとマスタードを混ぜます。時にはベーコンも焼いて挟んで、一見高級風にして食べていたものです。1食で2個食べた後は、残りの8個を冷凍していました。

 このように、59円バーガーは貧乏生活の救世主でした。あれがなければ、当時の私はどうなっていたかわかりません。その価格で販売するにはとてつもない企業努力があったことでしょう。

 その後、2010年には吉野家が380円だった牛丼並盛を270円にし、すき家は280円から250円に。松屋は320円を250円にするなど牛丼チェーンの値下げが相次ぎ、日本において牛丼とハンバーガーは“デフレの象徴”となりました。

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