中川淳一郎のビールと仕事がある幸せ

マクドナルド値上げ 「59円バーガー」の思い出と「安さこそ正義」への違和感

筆者が貧乏生活時代に毎日食べていたマクドナルドのハンバーガーの中身

筆者が貧乏生活時代に毎日食べていたマクドナルドのハンバーガーの中身

「値上げ謝罪広告」と「ステルス値上げ」

 もちろん、いいものが安く手に入るのは、消費者としては非常にありがたいことです。ただ、長引くデフレによって、日本では「安さこそ正義」という空気感が当たり前になってしまったのではないでしょうか。

 それを象徴するような例が、赤城乳業が2016年4月1日に発表した、「ガリガリ君値上げの謝罪広告」です。皆に愛されている「ガリガリ君」は、25年ぶりに値上げ(60円→70円)されました。新聞広告では同社前で多くの従業員が頭を下げ、「25年間踏ん張りましたが、『ガリガリ君』を10円値上げいたします」のコピーが書かれていました。動画CMでは、値上げをしたくないという思いを歌詞に込めた曲が流れ、前方に幹部社員が並び、大勢の従業員が神妙な顔で立っている。後半、一斉に頭を下げ「25年間踏ん張りました」「60→70」のキャプションが出ます。

 この時ネットでは大いに盛り上がるも、この健気な姿勢に「今まで頑張ってきたからいいよ! これからも食べ続ける」といった声が多数出たものです。当然、赤城乳業は話題性を狙ってこの広告を作ったのでしょうが、その狙い通りの結果となりました。この広告が注目を集めた背景には、やはり「安さこそ正義(値上げは悪)」という空気感があったからで、それを逆手に取った形です。

 その一方で、値段はそのままで、内容量を減らす「ステルス値上げ」もここ数年間相次いでおり、こちらは前述の赤城乳業の値上げの時とは違って、批判の対象になることも多いです。

 たとえば2020年、ネスレの「キットカット」は小さくなりましたが、この時の説明には多くの突っ込みが寄せられました。プレスリリースのタイトルには「おいしさそのままで砂糖減!さらに食べやすいサイズに一新!」とありましたが、小さくしたことへの説明がやや苦しい。

〈「1枚当たりのカロリーが気になる」という声にも対応するため、1枚当たりのサイズを「食べやすい」1口サイズに変更することで、より気軽に食べていただける製品へと生まれ変わりました〉

 これには「高くしていいから元のサイズに戻してくれ!」といった声も上がりました。

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