キャリア

若い頃に諦めたことが「生きがいの貯金」に 人生を豊かにする定年後の「居場所」の見つけ方

「老後の生きがい」の見つけ方について語るライフ&キャリア研究家の楠木新さん(撮影/イワモトアキト)

「老後の生きがい」の見つけ方について語るライフ&キャリア研究家の楠木新さん(撮影/イワモトアキト)

『定年後』などの著書があるライフ&キャリア研究家の楠木新(68歳)さんは、10年間で500人以上の高齢者に取材を重ねてきた。それを踏まえ楠木さんは、「若い頃に諦めたことが定年退職後の新たな生きがいになりやすい」と説く。新著『75歳からの生き方ノート』を上梓した楠木さんが、老後の生きがいや居場所の様々な見つけ方を指南する。

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 私がテレビ番組にゲストとして出演した時のことです。番組内で紹介された人は、子どもの頃にテレビで見た刑事番組に憧れて警察官になります。しかし、仕事でケガをして2か月間入院したことをきっかけに退職。その後、警備員に転職しましたが働く喜びを感じられずにいたそうです。

 そんな折、駐車場の警備にあたり、黒塗りの高級車がずらっと並んでいるのを見て、子どもの頃から乗り物が大好きだったことを思い出します。そして海外のVIPや要人が乗車するハイヤーの運転手に転職しました。

 番組内では目を輝かせながら、できるだけ長く運転手を続けたいと語っていました。その時にMCだったタレントの藤井隆さんは、「この人は2回も子どもの頃の夢を叶えている」と指摘していました。小さい頃の憧れや原体験は年齢を重ねても大きな力を持っていることを強く感じました。

 仕事だけでなく趣味的なもので小さい頃の自分を呼び戻している人も少なくありません。子どもの頃得意だった将棋を70代になって本格的に再開した人もいます。理由を聞くと、「将棋の勝負では、こちらが年寄りでも一切容赦がありません。子どもたちも手加減はしてくれない」と語ります。

 仕事を辞めると、誰も自分に注意やアドバイスをしてくれない。周囲もやさしくなりすぎて、逆に刺激が欲しくなるとのことでした。今では将棋センターに通うのが、日々の生活の軸になっているそうです。

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