森口亮「まるわかり市況分析」

シチズンは25%の自社株買いでストップ高に 今「低PBR銘柄」が注目されている理由

低PBR株が注目される背景には、東証フォローアップ会議の影響があるとの見方も(Getty Images)

低PBR株が注目される背景には、東証フォローアップ会議の影響があるとの見方も(Getty Images)

 2月の日本株市場では、ある共通のテーマで株が物色された。それは「低PBR」、つまりPBR(株価純資産倍率)が1倍を割れているような銘柄だ。なぜ低PBR銘柄にスポットが当たり始めたのか。この流れはまだ続くのか。個人投資家・投資系YouTuberの森口亮さんが分析する。

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 まず米国市場から見ていきましょう。米国の株式市場は軟調な展開が続いています。2月3日に発表された雇用統計が、市場予想を大きく超える結果になりました。2月中旬のCPI(消費者物価指数)、2月後半のPCEデフレーターでは、相次いで市場予想を超えるインフレ率を示しました。これらの結果から、FRB(連邦準備制度理事会)の「利上げ停止」への期待は後退することになりました。

 利上げの最終到達点の市場予想であるターミナルレートは、一部報道では5.5~6%とも言われており、長期・短期金利がともに大きく上昇しています。

 金利が上昇することにより、相対的にグロース株が軟調となり、バリュー株が優位な相場状況になりがちです。それと同じ流れ(グロース株売り、バリュー株買い)が日本の株式市場にも影響しているかもしれません。

東証フォローアップ会議の内容に注目

「東証フォローアップ会議」という言葉を最近よく耳にするようになりました。これは、東京証券取引所が開催している会議の名称であり、2022年7月から2023年2月までに計8回開催されています。東京証券取引所からは、東証フォローアップ会議について以下のように説明されています。

〈市場区分見直しの実効性向上に向けて、施策の進捗状況や投資家の評価などを継続的にフォローアップし、上場会社の企業価値向上に向けた取組や経過措置の取扱い、ベンチャー企業への資金供給などに関する追加的な対応について議論を行うため、エコノミスト、投資家、上場会社、学識経験者その他の市場関係者が参加する有識者会議を設置いたしました。〉(東京証券取引所ホームページより)

 この会議の開始時(2022年7月)は、知名度が低く、あまり株式市場から意識されることもありませんでした。しかし、開催ごとに議事録が公開されており、具体的な問題点やアクションが見えてきたことから、最近になって、投資家のあいだでも意識されるようになりました。

 最近の東証フォローアップ会議で取り上げられた問題で、注目したいポイントは以下のものです。

【問題意識】上場企業の約半数がPBR1倍割れ、もしくはROE(自己資本利益率)8%未満である。ここにメスと入れなければいけない。
【解決案】自社の現状(PBRやROE)分析し、改善計画を策定して開示してもらう。

 開示されている資料によれば、この要請は今年の春にも始まるとのことです。

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