ポスト石破をにらんで水面下では様々な動きが(時事通信フォト)
夏に参院選を控えながら支持率下落に歯止めをかけられない石破政権。国民が求める減税を阻止せんとする財務省や自民党幹部ら“増税マフィア”は、石破退陣を想定して次の“操り人形”を探し始めた。その策謀が現実となれば、選挙で政権にNOを突きつける民意が示されても、国民は物価高の苦しみから解放されないことになる。【前後編の前編】
増税マフィアが頼りする麻生・元首相
トランプ大統領の一言片句に右往左往する石破茂・首相。関税交渉は「最後は私とトランプ大統領が決める」と言いながら、“御用聞き”に訪米した側近の赤沢亮正・経済再生相に続いて加藤勝信・財務相を訪米させ、本人は大型連休中に米国ではなくベトナム、フィリピンを歴訪する。
そんな一貫しない姿勢に与党内からは、「次は自公国の連立で“玉木雄一郎総理”しかない」(参院ベテラン)と政党支持率を伸ばす国民民主党の代表・玉木氏を連立に取り込むべきとの論が上がっているのだ。
その玉木氏は「減税」を掲げて勢いに乗る。「どういう形であれ、消費税を下げるということを石破政権が決めたら選挙的には脅威だ」と、石破首相を挑発までした。
だが、ポスト石破で玉木減税政権が登場するのを阻止したいのが“増税マフィア”と呼ばれる財務省だ。与党が選挙に浮き足立つなかで同省が頼みにするのは、戦後最長の8年9か月にわたって財務大臣を務めた麻生太郎・元首相。その麻生氏がここにきて積極的に動き出した。
4月11日には自民党参院議員のパーティーで高市早苗・前経済安保相とともに講演。
「参院選で過半数を割れば、非常時で事を急がなければいけない時に、何も決められない日本ができ上がりかねない」と危機感を露わにし、同15日には自ら発起人代表となり、関税問題を睨んで対日投資拡大議連を立ち上げた。
「石破総理は麻生先生に『トランプ大統領との交渉役をやってほしい』と打診してきたが、麻生先生は先回りして『オレは行かないよ』と漏らして正式な話が来ないようにした。昨年のうちから助言もして手を貸していたのにこの体たらくなのだから、今さら石破総理の露払いをしてやる気は全くない。その先を見ている」(麻生側近)