2050年までに「すべてを総合型選抜に移行する」方針を示した東北大学(写真:時事通信フォト)
大学受験で推薦入試の注目度が高まっている。大学側も指定校推薦や総合型選抜(旧AO入試)など、推薦入試に注力するようになっているが、その背景には何があるのか。『大学受験 活動実績はゼロでいい 推薦入試の合格法』が話題の受験ジャーナリスト・杉浦由美子氏がレポートする。【前後編の後編】
>マネーポストWEBプレミアム登録ですべての記事が広告なしで読める! 初回登録月は無料
* * *
前回記事では、なぜ「将来的にすべての大学入試が推薦入試になるか」について書いた。
2017年に国立社会保障・人口問題研究所が公表した統計によると、出生数が80万人を割り込むのは2033年の予定だった。それが2022年に77万人と80万人を切り、2024年は68万人と予想を大きく上回るペースで少子化が加速している。
少子化により大学は学生の獲得に苦戦している。関西の名門女子大、京都ノートルダム女子大学が定員割れが続くため募集停止を発表し全国に衝撃を与えたが、この女子大も2020年には定員の1.3倍の入学者がおり、予想よりも多く入学者がいて困るぐらいの状況だったのだ。それが2025年の春に募集停止を決めるとは誰が予想できただろうか。
前回の記事で説明したように、受験生の数が減ってくると、一般選抜では学力のある生徒を確保しにくくなってくる。そうなると、推薦入試の方が学力が高い学生が取れるようになる。すでに、一般選抜では選抜ができない「ボーダーフリー」の大学の中には、推薦入試で一定の評定平均値や勤勉さを持つ学生を入学させるため、学生の学力がボーダーフリーではなく一定以上に保たれる、というようになっていくのだ。
しかし、これはあくまでも一般選抜で偏差値がボーダーフリーになる大学や、中堅の超マンモス大学の話だ。ところが難関大学でも推薦入試組の方が学力が高いという現象が起きている。これは取材先でもよく聞く話だ。