「子供には甘い」と自嘲するパックン。高校生の子供たちにはどんなマネー教育を授けているのか?(提供写真)
ハーバード大を卒業した同年に来日したパックンことパトリック・ハーラン(54)。1993年の来日以降、英会話講師などを経て1997年にお笑いコンビ「パックンマックン」を結成後はテレビを中心に活躍を続け、お茶の間の人気者となった。プライベートでは、日本人の妻との間に2人の子供をもうけ父としての顔も持つ。そんなパックンにフリーライター・清水典之氏がロングインタビューを敢行。ここではその中から、パックン家の「マネー教育」について紹介しよう。
子供たちへのマネー教育は「日常会話でさりげなく」してきた
──非常に堅実な投資を実践されているパックンですが、お子さんらにはどのようなマネー教育をされていますか。
息子がインターナショナルスクールの高4(日本の高3)で、娘が高3(日本の高2)です。子供たちが幼い頃から、スーパーなどのお店に連れて行って、商品の値段を確認させていました。同じヨーグルトでも、値段が違う。こっちは量が多いけど、こっちは少ない。「じゃあ、値段を量で割ってみたら、量が多いほうが安いけど、なんでだろう? 一緒に考えよう」って語りかけていました。
中学生になった頃には、いろんな職業を挙げて、それぞれ望める給料はいくらくらいか、給料を決める仕組みには時給、月給、歩合制などいろいろあるけど、どう違うのかといった話を普段の会話のなかで、さりげなくするんです。「不動産屋さんの営業は、家を1軒売ると何%か歩合が入るんだよ」とか、「深夜の建設現場で働いている人の時給はけっこう高いよ」とか。お金の話は隠すものでも避けるものでもなくて、生活の中で普通に語るものだと思います。
──日本人は「子供にお金の話は……」と敬遠しがちですが、普段の生活の中で、ごく当たり前のこととしてお金の話をする。
そうです。だけど、言葉でいくら説明しても、お金の肌感覚というのはなかなか身につかないので、本当はアルバイトをして、10万円稼ぐのがどんなに大変なことかを体感してほしいんです。ただ、2人ともまだアルバイトはしたことがないようです。
だから、うちではお小遣いを給料制にして、食器洗い、洗濯物を畳んで片付けるといった仕事をちゃんとやったらお小遣いを渡すという家庭内アルバイト制にしているんですが、結局、私は子供に甘いのでなかなか厳しくできない。
娘が「友達とディズニーランドに行くから1万円ちょうだい」って言うわけですよ。1万円稼ぐには、コンビニで時給1000円で働いたとして10時間ですが、実際には源泉徴収されて社会保険料も引かれたりするので、手取りで1万円稼ぐには12〜13時間は働かないといけない。家庭内で13時間食器洗いをさせるわけにはいかないから、結局、こういうことをブツブツ言いながら、1万円あげちゃう。「苦労は買ってでもしろ」という言葉は、本当にその通りだと思いますが、子供に苦労をさせるだけの自制心が私にはない(笑)。