居酒屋の「お通し」のあるべき姿は?
昨今、訪日外国人観光客数は激増して、2016年は史上初の2000万人を突破した。前年比21.7%増の2403万9000人である。2020年の東京五輪開催に向け、これからも観光客数は増加が見込まれるが、居酒屋等で外国人との間でトラブルになりがちなのが「お通し」「突き出し」である。
彼らからすれば「頼んでもいないものが出てきた!」と思ってしまう代物。日本人であれば、「まぁ、居酒屋ってのはそういうものだよね」と思う場合も多いだろうが、冷静に考えれば店外に「お通し代400円取ります」などと注意書きが明記されていないものを客は押し付けられているという側面もある。中には「テーブルチャージに食べ物が付いてきた」と言う人もいるかもしれないが、「テーブルチャージが必要なレベルの店か? ここ?」というレベルの店も少なくない。
連日のように居酒屋で飲み、過去に雑誌で「お通しの欺瞞」特集を作った経験を持つネットニュース編集者の中川淳一郎氏がお通し・突き出しがどうあるべきかについて語る。なお、「突き出し」は関西の言い方である。
* * *
私はお通しは基本的には嫌いです。理由はマズい場合が多いから。大抵のお通しは、前日残った食材やら、業務用の袋に入ったどーでもいいものが出てくるものです。マグロを醤油と砂糖と味醂で煮たパサパサのヤツとかが出てくると、「あぁ、昨晩マグロの刺身が大量に余ったのね……」なんて思ってしまいます。それでは、これまでに食べたヒドいお通しを列挙してみましょうか。いずれも300~500円です。
・厚さ5mmほどの厚揚げの煮たヤツを2切れ(2cm×4cm)
・業務用ツボ漬けの小鉢
・キュウリの酢の物
・ショートパスタを揚げたまるで味のついてないもの
・カブの漬物2切れ+キュウリの漬物2切れ
・小松菜を茹でたものがほんの少し
・ワカメの酢の物
おい、これと牛丼の並盛が等価かよ、エッ! と言いたくなるようなレベルではありませんか。店の言い分もわかるんですよ。「すぐに出てくるお酒を飲む時のアテとして利用してください」とね。ただ、ファミレスだろうが、ビアホールだろうが、お通しなんてものは出てこない。最初の一杯は別にアテなんてなくてもいいし、おつまみが欲しい人にすぐ対応するのであれば、「クイックメニュー」でも用意しておけばいいでしょ?
というか、お通し問題の根幹は「嫌いなものを強制的に出される」ことにあるんですよ。私、ホヤが嫌いなんですが、ホヤの酢の物出されてすぐ脇に置いてしまいましたよ……。最後まで手付かずで、すっかり干からびてしまった。他のテーブルを見ても、ホヤはけっこう残っている。もしも安い「クイックメニュー」の中から複数から選べ、最初の一杯と一緒にやってくるのであれば、それでいいではありませんか。それこそ「イカの塩辛」(300円)や「カツオの酒盗」(320円)、「ミニポテトサラダ」(250円)、「冷奴」(300円)、「落花生」(200円)、「うまい棒2本」(50円)なんかがあるのであれば問題は起こらないのです。
